ジャンプSQ.
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マンガ家 直撃インタビュー[モノガタリ]

――初めての月刊連載で、大変お忙しい毎日かと思うのですが。

●助野 いや、意外と普通なんです(笑)。めちゃくちゃ忙しい感じでもなくて。

――規則正しい生活をされている感じですか。朝ちゃんと起きて仕事場に行く、という。

●助野 そうですね。毎日10時に仕事場に行きます。アシスタントも同じ時間に来て、夜の12時までで一応終わり。僕はそのあと2時ぐらいまでやって帰ることが多いんですけど。「今日はここまで」ってノルマを立ててやっているので、予定どおり終わったら、僕も12時に帰ります。ま、あんまりその通りにはいかないので大体次の日に持ち越しなんですけど。

――全部終わらなくても、ある程度のところで一回切って、お帰りになるんですね。

●助野 徹夜は、いまのところしていないです。もう大体自分の一日の作業の量がわかっていますし。先の展開も大体考えてあるので、話ができなくて困るというのもいまのところ大丈夫です。

――それはすごいですね! 今は大阪にお住いで、近くに仕事場を借りているんですよね。最近引っ越しされるまで相当すごいところを仕事場にしていたとか………

●助野 そうなんです。京都で、学生時代からずっと住んでいた月2万5千円のアパートをそのまま仕事場にしていて。そこから1、2分のところに住んで通っていました。

――どんな感じのお部屋なんですか?

●助野 部屋は意外と大きめで六畳のタタミ。築50年、共同トイレ、共同シャワーは一回百円(笑)。多分地震に耐えられないです。ブレーカーも一日2、3回落ちますし。連載が決まったときちょうど向かいの部屋があいたので、大家さんに言って、もうひと部屋借りて。そこはアシスタントの寝床と飯を食うところにしました。アシスタントはみんな大学の後輩なんですよ。

――大学は京都精華大学の芸術学部マンガ学科ですよね。そのときの気心の知れた方たちがアシスタントさんに。

●助野 大学で仲よかったやつらが、そのまま。でも、みんな仕事場でもしようもないことばっかりやりますからね。ずっとものまねやってるやつとかいるし(笑)。

――描きながらですか?

●助野 はい。静か過ぎても耐えられなかったりするので、それはそれでいい(笑)。さすがに集中し始めればしゃべらなくなりますが。

大学のマンガ学科では何も教わらなかった!?

――大学では、たくさん漫画を描いていたのでしょうか。

●助野 いえ、漫画以外のことばっかりやってましたね。普通に遊んだり。名目上、マンガ学科なんで、一応描いていたくらいで。

――どんなものを描いてらしたんですか?

●助野 もう人に読ませられるものじゃないですからね、あのときのって。ただの日記漫画……心の葛藤を描いただけのような。誰でも一度は通る、芸術家ぶった漫画です(笑)。

――投稿や持ち込みはなさってたんですか?

●助野 投稿はせいぜい2、3回。持ち込みは1回行きましたね。「IKKI」、「アフタヌーン」。「ビーム」とか……。全然だめでした。すごく熱意のある編集さんに「絵はうまいけど、漫画は下手」と言われたこともあります。「全然読み手のことを考えてない。これじゃ絶対漫画家として食っていけないですよ」って。「絵もイラストレーターになるほど絵がうまいわけじゃないし」。

――かなりきつい一言ですね。

●助野 それで「ああ、全然あかんのか」と思い知らされた。それが三回生ぐらいですかね。でも在学中はやっぱり課題に追われたり、遊ぶことに夢中だったりしたんで、まだ真剣になれなかった。

――漫画の授業ではどんなことを習っていらしたんですか。

●助野 放任主義です。先生たちも基本的に自分で頑張ってるやつを後押ししてくれる感じで、頑張らないやつには何もしない、というスタンス。(少女漫画家の)竹宮惠子先生が教授でいらしたんですけど、連載が決まった報告に行ったときに「特に授業では何も教えてもらってない気がします」って言ってみたら「それは何も聞きに来ないからよ」って言われてしまいました(笑)。

――ネームを描いて教授に見せたりは。

●助野 ないです、ないです。やらなあかんのちゃうかなあ……ぐらいの気持ちはあったんですけど。課題をやるくらいですね。でも大学では、後輩とか友達とか、漫画を描いていて刺激し合えるやつが近くにいっぱいいたのはよかったですね。

――漫画以外ですと、大学時代のどんなことが印象に残っていますか?

●助野 学祭実行委員会っていうのに入ってたんですが、むちゃくちゃなんですよ、そこ。文化祭のくせに体育会系で。委員は、何か起こったときのために警備をしないといけないのでほぼ24時間、3日間起き続けている。準備期間中からすごいしんどくて。酒をめちゃくちゃ飲まされるんですよ。僕、全然飲めないのに。変な根性は培われた(笑)。でもそのとき先輩に言われたことで忘れられない言葉があって。

――なんて言われたんですか?

●助野 「おまえらは、"祭り"っていうみんなが楽しむためのものを作ってるんやろう。だったら、おまえらが一番に楽しまんでどうすんねん」って。それは、今漫画を描くことに活きていますね。自分がおもしろいと思って描かないと、読者もおもしろいと思わないだろうと。

――確かに、作品からもご自身が楽しんで描いていらっしゃる感じが伝わってきます。