2009年4月4日23時8分
中国電力島根原発3号機(松江市、11年12月稼働予定)の建設をめぐり、虚偽の関連用地の売買話で5千万円を詐取したとして詐欺罪などに問われた建設コンサルタント会社社長が、元衆院議員の浜田幸一氏(80)からもほぼ同じ手口で5千万円を受け取っていたことがわかった。朝日新聞の取材に対し、浜田氏が認めた。浜田氏は「現金を返すよう求めたが、連絡が取れなくなった。私は被害者だ」と話している。
捜査関係者らによると、浜田氏は02年ごろ、知人の紹介で知り合った建設コンサルタント会社社長の上杉孝志被告(69)=神戸市垂水区、昨年12月に神戸地検が起訴=から「原発建設に携わる作業員の宿舎用地を購入すれば、建設工事に参入できる」と持ちかけられた。浜田氏に近い人物がゼネコン関係者らと現地を視察し、浜田氏は上杉被告の会社の口座に手付金として5千万円を振り込んだという。
浜田氏側が中国電力に問い合わせたところ、上杉被告は建設工事の業者選定とは無関係で、宿舎建設もでっち上げだったことが判明。浜田氏は上杉被告に返金を求めたが、5千万円は戻ってきていないという。同被告を詐欺容疑などで逮捕した兵庫県警もこの経緯を把握しているという。
浜田氏は朝日新聞の取材に事実関係は認めたが、現金を支払った詳しい理由は明らかにしなかった。また、警察への被害届についても「上杉被告が公判中だ」として出していないという。
建設業界関係者によると、中国電力の原発建設をめぐっては、関連工事への参入をめざす建設業者らに複数の建設ブローカーが「手付金を払えば受注させる」とうそを言い、現金を詐取する事件が相次いでいたという。