公衆浴場で裸を盗撮され、アダルトDVDとして販売されて精神的苦痛を受けたとして、関西に住む20代の女性がDVDの販売元と編集会社2社に計2200万円の慰謝料を求めた訴訟の判決が27日、大阪地裁であった。府内覚裁判官は「プライバシー権や肖像権を侵害し、販売元も承諾がないと知っていた」として、販売元と編集会社1社、それぞれの代表者に計660万円の支払いを命じた。
原告側代理人によると、盗撮の被害が表面化することはほとんどなく、民事裁判で被害が認められたケースは極めて珍しいという。
判決によると、女性は06年2月、自分が盗撮されたDVDが販売されていることを知人を通じて知った。公衆浴場を利用した際に盗撮されたと思われ、同12月、プライバシー権侵害などを理由に販売元の「なにわ書店」(大阪市浪速区・茂崎晃社長)と大阪市内の編集会社2社を訴えた。
裁判では販売元に責任が及ぶかが争点となった。府内裁判官は茂崎社長が販売しただけでなく、企画を取り仕切っていたと指摘。「盗撮と知りながら共同で製作・販売しており、重大な過失がある」と批判した。その上で「不特定多数の人がDVDを知ることができる状態であり、違法性は極めて大きい」と結論付けた。【北川仁士】
毎日新聞 2009年3月28日 13時32分
3月28日 | 盗撮DVD:販売元に賠償命令 大阪地裁 |