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アスベスト:被害防止、3度機会を逃した食薬庁(下)

 金教授が報告書を出した後も、チャンスは2度あった。2005年にヨーロッパが、06年には米国が「ベビーパウダーなど新生児・乳児用品に使用されるタルクからアスベストが検出されてはならない」という指針を示したのだ。この時点でも速やかに対応し、タルクに対する規制に乗り出していれば、問題を早期に断つことができた。

 しかし、食品医薬品安全庁は3度とも安易な対応に終始し、厳しい批判を自ら招いた。同庁ホームページには、「うちの子にベビーパウダーを使ったため不安で眠れない。責任を取れ」などの書き込みが200件近く寄せられている。

 環境運動連合はこの日、ベビーパウダーを使用し被害に遭った消費者を集め、集団訴訟を起こす方針だと明らかにした。食品医薬品安全庁の関係者は「当時の報告書は危険性について具体的ではなく、安全性の再評価が必要な原料のリストだけを羅列している程度のものだったため、注目しなかった」と弁明している。

 だが、「食品医薬品安全庁の対応は遅すぎる」と批判されるのはこれが初めてではない。メラミン、ネズミの頭入りスナック菓子、寄生虫の卵入りキムチなど、食品の安全性についての波紋が起きるたび、対応は後手に回り、国民を不安にさせている。

 一方、韓国の学界におけるアスベスト研究も、きわめて初期的な段階であることが分かった。韓国毒性学会などは2日、食品医薬品安全庁に提出した意見書で、「アスベストに関する世界のSCI(Science Citation Index)論文5539本のうち、韓国の研究者が発表した論文は10本余りに過ぎない」としている。

キム・ミンチョル福祉チーム長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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