雑誌記事ネットの書き込みでタイホ!? どうやって犯人をみつけるの?R253月16日(月) 12時 0分配信 / テクノロジー - インターネットでも待てよ、そもそも僕たちはネットにつなぐためにプロバイダーと契約して、そこでは実名とか住所とか電話番号とかまで明かしているわけだよね。もしかしたら調べれば分かっちゃうものなの? 実際に掲示板などへの悪意の書き込みが原因で逮捕者も出てるし、この辺のことってどうなってるの? ITエンジニアでライターの水野貴明さんに聞いてみた。 「大雑把に言うと、犯罪になるようなことをすれば本人を突き止められてしまいますよ。つまり、匿名ではいられなくなりますよ、ということです」 それはなんとなくわかる。でも、警察はどうやって本人を特定しているのだろうか? 「インターネットを利用する場合、ユーザーの使うパソコンには“IPアドレス”という住所に相当する番号が割り当てられます。この番号はインターネットに接続するために必要なもので、インターネットにつながっているコンピュータは基本的に1台1台がすべて異なる番号になります。例えば掲示板へ書き込めば、その掲示板のサーバーにはどのIPアドレスを持つパソコンから書き込まれたかがわかる仕組みです。だから違法な書き込みがあれば、その掲示板の管理者に書き込んだユーザーのIPアドレスを教えてもらうことで、どこの会社やプロバイダーからネットを利用したのかわかります」(水野氏) ふーむ、その“IPアドレス”ってごまかしようがないんですか? 「『プロキシサーバー』という仕組みを利用すると見かけ上はIPアドレスを変えられますが、それでも突き止めようと思えば多くの場合はわかりますね。ボクも以前、自分のホームページを誰かに書き換えられるという攻撃を受けたことがありましたが、IPアドレスを調べたらタイからのアクセスで、結局、犯人は逮捕されましたよ」 その犯人は水野氏のHP以外にもいろんなところで悪さをしていたので、警察の動きも早かったそうだ。そのときに水野さんが警察から聞いた話によると、タイへはインターポール(国際刑事警察機構)を経由して情報開示を請求したんだとか。 でも、IPアドレスからそこまでわかっちゃうんだ。それって実はやばくない? 「IPアドレスからわかるのは、どのプロバイダーを使っているかや、場合によっては○○県××市から接続しているくらいまでなんです。それにプロバイダーは、警察からの問い合わせでないかぎり、誰にどのIPアドレスを割り振ったかを公開することはありません。だから普通に生活しているぶんには他人にIPアドレスを知られても心配しなくていいんです」 へぇ〜、なるほど! でも、だからこそネット上の悪口とかイジメが発生しやすいのかも。これをやめさせるために「ネット上ではみんな実名にすべき」っていう議論もあるようだが、当然ながら反対意見も多い。 お隣韓国では、インターネット上での個人攻撃や中傷で一般市民から芸能人まで自殺者が出るなどの事例が相次いだことを受け、掲示板に書き込んだ人物を特定できる「制限的本人確認制」(インターネット実名制)を導入した。が、実際にはネット上での誹謗中傷や違法行為は減っていないという。 ある程度の匿名性が保たれているからこそ、ネット社会はここまで発展してきたのだと思う。もしこの文化が完全否定され、匿名性がなんらかの形でなくなってしまうと、ものすごく住みにくい社会になってしまう。逆に匿名性ばかりを重視するとしても、現実として匿名での中傷によって傷ついている人もいる。ほどよいバランスのとれた社会が理想なんだけど、まだまだ課題は多い。 人間は火を使い始めて何十万年もたつのに、いまだに火事を出したりヤケドしたりする。ネットの歴史はまだ数年だ。使い方を皆で学んでいくのはこれからなんだろう。 (R25編集部) ※コラムの内容は、フリーマガジンR25から一部抜粋したものです 【関連記事・情報】 ・ 「匿名」だからおきやすい!? ネットでの誹謗中傷にはどう対処すればいいの? (2009.03.11) ・ うっかり逮捕されないためのネット・ライフの心得とは? (2009.02.25) ・ 事件になるほどの“悪口”っていったいどういうもの? (2009.02.25) |
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