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北朝鮮が「人工衛星」として事実上、長距離弾道ミサイルを発射した場合、最も早く探知するとされる米国の早期警戒衛星の情報について、防衛省が「発射の百パーセント探知は不可能で、着弾予想地域は不正確」との評価を文書にまとめていたことが3日、分かった。誤報の可能性もあるとしており、防衛省が信頼性に疑問を持っていることが明らかになった。
1996年に米国防総省と防衛庁(当時)が早期警戒衛星の情報提供に合意後、統合幕僚会議第三幕僚室(現統合幕僚監部)が文書をまとめた。その後、一部改定されたが、防衛省幹部は「技術的には多少改善されたが、信頼性に対する基本的な認識は現在も全く同じ」としている。
北朝鮮がミサイルを発射すると、米早期警戒衛星が真っ先に探知し、米戦略軍のコンピューターが発射角度などを分析して着弾地点や時刻を予測。データは在日米軍を通じて防衛省中央指揮所や迎撃を判断する航空総隊司令部に流れる仕組み。情報は海自のイージス艦なども瞬時に共有しミサイルを追跡する。
文書では、早期警戒衛星がミサイル発射の際に放射される赤外線をセンサーで感知するため、上昇段階が短時間だった場合は発射を探知できない場合があると分析。探知した場合、約2分間、コンピューターでデータ解析をするが、誤報の可能性はあると指摘している。
また、コンピューターが予想する着弾地域は広く、不正確になる危険性があると注意を促している。(共同通信)
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