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ソマリア沖で外国船舶救助 護衛艦、“脱法行為”の疑いも

2009年4月4日 11:30

 防衛省によると、ソマリア沖で海賊対策活動中の海上自衛隊の護衛艦「さざなみ」が4日午前2時40分(現地時間3日午後8時40分)ごろ、海上警備行動の警護対象外のシンガポール船籍のタンカーから「海賊らしい小型船舶に追われている」との国際無線連絡を受けて現場海域に急行、約20分後に追い払った。

 海上警備行動での警護対象は日本船籍、日本人、日本の貨物を運ぶ外国船など日本関連の船舶に限られており、脱法的な活動だった疑いがある。防衛省は「船員法の遭難船舶等の救助を適用した。武器などの強制力を使っておらず問題はない」としている。

 防衛省によると、さざなみはタンカーから約7キロ離れた位置で無線を受け、約10分後に約5・5キロまで接近。約10分間にわたりサーチライトを照射したり「長距離音響発生装置」と呼ばれる大音量を出す機器で現地語を使い「こちらは海上自衛隊」などと呼び掛け、追い払ったという。

 タンカーに近づいた船は、はしけ船の後ろに3隻の小型船をつなげて航行していたが、武器は使っておらず、防衛省は「海賊船かどうか不明」としている。

 海上警備行動では日本関係船舶以外の警護はできず、政府は対象を日本と関係のない外国船舶に広げる新法「海賊対処法案」の早期成立を目指している。

 船員法14条は「船長は、他の船舶または航空機の遭難を知ったときは、人命の救助に必要な手段を尽くさなければならない」と定めている。