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2009年3月26日
外務委員会で議論――ミサイル防衛問題について
「速記をとめて! 北朝鮮からの通告が出ている緊迫した状況で、一般論の答弁はだめだ」私の質疑の途中、河野太郎外務委員長が答弁のやり直しを命じた。
北朝鮮の「人工衛星」発射通告を受けて、政府はミサイル防衛システムによる迎撃を検討開始した。そこへ、「政府筋」からの「当たるわけない」発言。さらに中曽根外相が「難しいのは事実」と認めたと報道され、外務省は大混乱。大臣の発言内容を教えてといっても、「確認できません」。通常すぐにアップされる外務省ホームページにも、会見記録が掲載されない。
私は3月25日に控えた質疑内容を急遽変更。中曽根外相に加え、「政府筋」とウワサされる鴻池官房副長官の出席を要請した。
冒頭の「速記中止」が起きたのは、私が「落下物を迎撃した場合、迎撃されたら破片が飛び散り、かえって被害が広がるのでは?」と、素朴な疑問を投げたとき。「ウェポンシステムというものは一〇〇%完全なものではない」「一般論では、重大な被害を未然に防止するため・・・」防衛省の官僚答弁に場内で苦笑がもれ、委員長が声を荒げた。
日本のイージス艦によるミサイル迎撃実験は、いままでに2回行っている。「いま、ここから撃つぞ!」と撃ち上げたミサイルの迎撃実験には成功したものの、いつ撃たれるかわからない状態での迎撃は失敗。にもかかわらず政府は「実戦配備されている」と主張し、矛盾を抱えたまま。しかも、昨年のイージス艦「ちょうかい」の迎撃実験失敗に至っては、原因究明調査すら終わっていない。たとえ原因が特定できたとしても、アメリカとデータを共有できる保証はなく、アメリカがデータを独占したまま「改良しました」といって新しいミサイルを買わされる恐れが指摘されている。
これが日本の安全保障の現状。答弁に窮する防衛省に中曽根外相が助け舟。「日本の防衛能力にかかわること。ご理解いただきたい」。これにはびっくり。国会で議論しなくてどこでするのか。中曽根さん、きちっと持論を展開してくれればいいのに。自分の発言については「いろいろな取り上げ方があるものだな、と思いました。私が申し上げたのは一般論」「例えば、辻元委員にミサイル防衛システムは簡単ですかと聞かれれば難しいとお答えになると思うが、そういう認識でお答えした」とのこと。大臣さえも一般論。
アメリカもジレンマに陥っている、と私は指摘した。迎撃に成功すれば人工衛星発射に軍事対応したと中国・ロシアなどから非難の声が上がるかもしれない。失敗すればミサイル防衛システムが機能しないことを白日のもとにさらすことになる。失敗したら「北朝鮮の外交的勝利」ということになりかねない――とアメリカのメディアも指摘している。
「同じジレンマに陥ることになるのだから、外交・安保上で日本が受けるダメージをよく考えるべき。勇ましいことを言い過ぎると身動きが取れなくなりますよ」と私は訴えた。
この委員会終了後に、官房長官・外相・防衛相の三閣僚が会合して北朝鮮への対処を決めることになっているはず。私は中曽根外相に「軍事的対応ではなく、ぎりぎりまで外交的努力を続けるべき」と訴えた。わずか一八分の質疑では細部までつめられないのが残念。
さてグアム協定の審議入りを前に、与野党の攻防が入り乱れている。この日の委員会でいわゆる「お経読み」――協定の趣旨説明が行われるはずだったが、ここは何とか食い止めた。
再度今日開かれた理事懇談会で私は、沖縄の地元紙を広げて、地元の関心の高さを説いた。この協定について本土マスコミの取り上げ方は小さかったけど、沖縄では巨大な扱い。記事を読んでみんな驚いた顔つき。「沖縄の人の声も聞かずに進めるのは絶対だめですよ!」と強く訴えた。
国会には毎日のように平和団体や沖縄の人たちから「どうなりますか?」と問い合わせが入る。だまし討ちのように結ばれた協定を通すわけにはいかない!