ここから本文エリア 四国医新4 経営難2009年04月04日
高知市郊外にある高知医療センター。市内にあった県立と市立の2病院を統合し、05年に新設されたばかり。だが、今年3月末までに県と市から計7億6200万円を借りなければならないほど、経営が行き詰まっていた。 地上12階の建物に41の診療科が入り、常勤医師は110人。患者の受け入れは24時間体制だ。県と市で構成する病院企業団立の自治体病院で、建設から運営まで民間の資金やノウハウを活用するPFI方式を国内の病院で初めて採用した。コストを削減し、質の高いサービスを提供するのが狙いだった。 「経営状況は重大かつ深刻な事態となっています」。山崎隆章・企業長は言う。4年連続の赤字で、その累積額は08年度末で81億円余りに膨らむ見込みだ。経営難の理由の一つを、担当者は「当初の想定よりも、治療に必要な材料費が高くなっている」と話した。 企業団は、運営業務を委託している会社「高知医療ピーエフアイ」に経費削減を要請している。しかし、同社側は「求められた業務水準を維持するには、これ以上の削減は難しい」という。ガーゼや注射器などの材料費についても、同社は「現場からの要請に基づいて調達している」と説明。両者の話し合いは、平行線のままだ。 ◇ 公立病院の多くが赤字に苦しむ。四国4県の県立病院事業の経営状況(07年度)=表=からも分かる。それでも存続しているのは、採算面から民間が手を出しにくい救急、へき地、災害などの医療分野を担い、地域に不可欠とされてきたからだ。 総務省は「公立病院改革ガイドライン」(07年12月)の中に、経営の効率化を盛り込んだ。自治体に改革プランの策定を迫り、11年度までに黒字化を求める内容だ。 3病院を受け持つ徳島県病院局は3月、改革プランにもなる第2次経営健全化計画を策定した。だが、12〜13年度の収支計画は赤字。病院の改築事業に伴って経費がかかるからだ。担当者は「経営努力は必要だが、現実とかけ離れた数字では意味がない」と話す。 一方、自治体財政健全化法の施行(08年4月)で、病院事業も含めた財政の健全性が強く求められることになり、自治体は病院の赤字を放置できなくなった。赤字が続けば、自治体そのものが破綻する可能性もある。 公立病院の経営に詳しいホスピタルマネジメント研究所(東京都)の谷田一久代表は「赤字解消のために、病院が民営化されたり閉鎖されたりすることもあり得る。それが地域住民にとって良い選択かどうか、しっかり議論する必要がある」と指摘している。
マイタウン徳島
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