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イラク「韓国企業は油田開発から手を引け」

 イラク政府がクルド自治区での油田開発に乗り出した韓国企業について、自国内での油田開発への入札から排除すると表明した。そのため世界最大の油田開発市場であるイラクへの進出の道が閉ざされる危機に陥っている。韓国政府は直ちに調査団を現地に派遣する予定だが、入札への参加が実現するかは不透明な状況だ。

 イラクのシャハリスタニ石油相は2日、イラク駐在の河泰允(ハ・テユン)大使に会い、「韓国石油公社やSKエナジーなどの韓国企業が2007年にクルド自治政府と締結した油田開発事業は、中央政府との協議を経ずに行われた違法なものだ。そのため両社は今後、イラクでの油田開発に関する入札に参加できない」と通知したことが分かった。

 昨年行われた第1回油田開発入札資格審査(PQ)で両社を排除したイラク政府は、最近行われた第2回審査でもSKエナジーを脱落させた。イラク政府が今の立場を変えない限り、両社は3回目、4回目の入札にも参加できない。現在イラクで入札資格を得ている韓国企業は、クルドでの油田開発に参加していない韓国ガス公社だけだ。

 2007年から続くイラク政府と韓国企業2社との対立は、今年2月にイラクのタラバニ大統領が韓国を訪問した際、イラク南部バスラの油田開発と現地でのインフラ整備を行うために必要な35億5000万ドル(約3600億円)を韓国側が投資するという覚書を交わしたことで、一旦は解消するかのように思われた。SKエナジーも昨年末、クルド地域での油田開発を行わないという条件で、それまで中断していた原油の輸入を再開した。

 入札における対立が再び表面化したのには、イラク政府内部におけるシーア派とクルド族との対立が影響しているという。クルド族出身のタラバニ大統領とシーア派でエネルギー相を兼任するジャアファリ首相の考えが異なっていたということだ。

 海外資源開発協会のチョン・ギュチャン副会長は「イラク政府内部の複雑な権力構造による問題点を予測すべきだったが、韓国政府と業界がこの問題を安易に考え、いずれは解決するだろうという前提で事業に乗り出したようだ」と述べた。韓国政府があまりにも楽観的かつ早急に事業を進めたというわけだ。イラク側は「クルドとの契約を取り消せば入札への参加を認める」としているが、韓国政府は「取り消すことはできない」との立場だ。

 韓国政府は4日に首相室、知識経済部、外交通商部が共同で現地調査団を派遣し、イラク国内の道路、港湾、石油精製施設の建設など、イラク再建事業への参加拡大を名目にイラク政府との再交渉に臨みたい考えだ。知識経済部の李允鎬(イ・ユンホ)長官らがイラクを直接訪問する案も検討されている。

 エナジー経済研究院の李文培(イ・ムンベ)博士は「政府が一体となって対策チームを構成し、総力をあげた外交努力を展開しなければならない。それでも簡単に解決することはないだろう」と予想した。

ペ・ソンギュ記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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