県立こども病院(安曇野市)は3日、重度の心臓病「拡張型心筋症」の乳児患者5人にペースメーカーを取り付ける治療を行い、4人が日常生活を送れるまでに回復した−と発表した。
同病院によると、この病気の乳児患者は強心剤などの薬物治療か心臓移植がほとんどで、国内でペースメーカー治療の実施例はこの5例を含め10例程度しかない。「国内で小児の心臓移植が認められていない中、有効な治療法になる」としている。
循環器科と心臓血管外科の医療チームが2004年9月から今年3月の間、生後2カ月−1歳1カ月の県内と都内の男女5人を手術。ペースメーカー(縦約3センチ、横約4センチ、厚さ約1センチ)を心臓に取り付けた。その結果、4人については、定期的なペースメーカー調整などを必要とするものの、退院するまでに回復。亡くなった1人(7カ月の女児)は「入院時に症状がかなり進行していた」という。
同病院によると、ペースメーカーの電極を適切な位置に縫い付けるのが難しく、この治療の実施には、経験豊富で高度な技術を持つ内科、外科、麻酔科などの医師らがそろうことが必要という。
医療チームの中心となった循環器科の安河内聡医師(52)は「治療法をさらによくし、ほかの医療機関への情報提供や患者の受け入れをしていきたい」と話している。