ファクトリー訪問記 スタツア編
シェムリアップの中心部から約1時間ほどデコボコ道をバスにゆられて田舎の農村に到着すると、そこは…「ウルルン滞在記」の世界!いきなり牛車が迎えてくれました。
埃っぽい空気の中で放し飼いの牛や鳥、裸で遊ぶ子どもたちの姿が。そんな森の中に、竹で編んだすずしげな壁とバナナの葉の屋根のコミュニティファクトリーがありました。
駐在員の大窪さんと一緒にコミュニティファクトリーの中へ。コミュニティファクトリー、って名前は「工場」ですが、日本の工場のイメージとは全然違ってナチュラルな雰囲気。こんな環境で働くの、ちょっと楽しそうだなと思いました。
この土地を買うのも、なかなか良い土地が見つからなかったり、外国人のNGOだから値段をふっかけられたり、色々な苦労があったそうです。
ここのコミュニティファクトリーでは主にい草を織ってマットにする作業をしていました。織り機が10個、さらに麻紐をつくる糸つむぎなどが数個、というシンプルな工場。そして彼女たちが織る色とりどりのマットが綺麗!
外は太陽がぎらぎらで倒れそうなほど暑かったのですが、ファクトリーの中はうまく風が入るようになっていて、かなり過ごしやすく感じました。
全部で20名ちょっとの女の人たちが織り機の前で働いていました。二人一組でい草を一枚の織物に仕上げている様子。チョムリアップスオ(こんにちは)と声をかけると少し恥ずかしそうに、けど笑顔で返事をしてくれました。
そんな彼女たちを見て、驚いたことが一つ。年齢が、どう考えても私達スタツア参加者の大学生と同じ、もしくはそれより低年齢だったんです。
コミュニティファクトリーの一歩外は広い空き地になっていて、柵で外の敷地と分けられています。野良牛が入ってきてしまうから(!)、柵が取り付けられたんだとか。
そんな空き地ではい草染めをしていました。大きなお鍋に染料を入れて、ぐつぐつ煮ている様子。こうしてあの鮮やかな色が作られているんですね。
染めたい草は同じ空き地に所狭しと干されていました。
すごく暑いのに、火の傍でずっと作業するのは大変そう。嫌な顔ひとつせず、黙々と作業をこなす彼女たちに尊敬です。
訓練生のひとり、インちゃんの家に家庭訪問させてもらいました。彼女のお父さんは長年間音信不通、お母さんはHIVで亡くなり、さらに母子感染のHIVで妹さんをつい先日亡くしたばかり、とのこと。一緒に暮らしているおばあさんと3人の兄弟のために、働いているそう。
彼女の家は、ボロボロ。四方を囲むはずの壁が、1枚足りません。お金がなくて修理できないそう。お母さんが亡くなり、いよいよ貧しすぎてインちゃんが出稼ぎに行かなければならない、という時にコミュニティファクトリーが出来て、村で働くことが出来るようになったそうです。長期間ここで働きたいというのが彼女の望みだとか。
出稼ぎに出るというのはカンボジアの人にとって大変なこと。大事な家族と離れ離れになり、身体的に大変な農作業を1日中行い、時には騙されて売春宿で働かされる人もいる。
実際にその危険性のあったインちゃんを目の前にして、農村のゆったりした空気の裏側にあるカンボジアの「リアル」を感じました。
15歳という若さで大人として一家の生計を担うインちゃん。ファクトリーで一生懸命働く姿と、彼女の歩んできた人生に胸がいっぱいになってしまいました。。頑張れ!
彼女たちが丹精に編んだい草織物で出来たハンディクラフトがファクトリーで売ってました。赤、紫、ピンク、緑…色あざやかでセンスのいいカバンや小物がいっぱい。
さらに、ファクトリー内の倉庫には作りたてほやほやの商品がたくさん置いてありました。色・形のバリエーションがすっごく豊富で、選ぶのに長い時間迷いました。最後には「これなら日本に帰っても使えるな」と思って赤いトートバッグを購入。夏に活躍してくれそうです♪
帰ろうとバスに乗り込んだ私達を送りにきてくれた村の男の子たち。「チョムリアップリア」(さようなら)と手をふってくれました。(ちなみにこの建物がコミュニティファクトリーです。)カンボジアの人ってあたたかいなぁ。