企業や官庁に新卒の若者が入ってきた。内定取り消しも相次いだ厳しい就職戦線をくぐり抜けた今年の新社会人は八十二万人という。
住友生命がバブル絶頂の一九八九年入社組と比較した新人意識調査では、生き抜くのに必要なものに「忍耐力」「根性」を挙げた割合が二―三倍に上った。八九年に一位の「体力」は三分の一に減っている。
いくらでも仕事があったバブル期には体力が大切と考える人が多かったが、今年の新人は厳しい環境にも粘り強く対応しようとしているようだ。意識調査は時代の相をくっきりと映す。
キリンホールディングスの調査で「入社する会社でずっと働きたい」は55%。四年前の35%から大きく増えた。やってみたいことの一位は「貯蓄」。守りを固める若者像が浮かぶ。
子どもも例外ではない。クラレが行った小学校新一年生アンケートで、男子がなりたい職業は大工や左官などの「職人」が前年の五位から二位に躍進した。不況の中、手に職を持つ仕事に人気が高い。
社会経済生産性本部が発表した今年の新入社員のタイプは「エコバッグ型」だ。環境保護(エコロジー)に関心を持ち、節約志向(エコノミー)で無駄を嫌う。小さくたためて便利だが、使うときには大きく広げる(育成する)必要がある、としゃれている。