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| ☆★☆★2009年04月03日付 |
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| 勝敗の分かれ目は運だけだったという気がして納得した。敗れても悔いのない試合とはこのようなものだろう。春のセンバツ決勝で花巻東が1点差で涙を呑み、優勝こそ逸しはしたが、同校ナインの健闘は優勝旗の半分に値しよう▼本日のネタはこの決勝戦と決め、仕事中堂々とテレビ観戦した。これまでは、何の試合でも地元にかかわるものは見ず、結果だけを知ることにしているのは、見ると負けるという自分なりの経験則からだが、この日ばかりは違った。高校野球は春、夏を通じて東北に優勝旗をもたらしたことがない▼その最初のチャンスともなる試合を見ずにおられようか。そしてその期待がかかった一戦は、大方の予想通り1点を争う死闘となった。花巻東も相手の清峰(長崎)も共に打ってよし、守ってよしのチームであり、毎回が息詰まる展開となって勝敗はどちらが運を味方につけるかにかかっていた▼そう一言で片づけては申し訳ないが、大会屈指の両投手が持てる力を振り絞って力投し、打撃陣は打撃陣で必死に球に食いついていく。そのさまは壮絶そのもので、実力はどちらが勝ってもおかしくないという表現が決して陳腐ではなく、伯仲、拮抗そのものだった▼九回裏の攻撃に最後の望みを託し、一打同点、あるいはサヨナラの場面を祈る思いで見守ったが、幸運の女神はどちらかの選択を余儀なくされたようだ。そうとしか言いようがない。 |
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| ☆★☆★2009年04月02日付 |
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| 一カ月ほど前、どこかのメディアが行った世論調査で政党支持の設問とは別に「政界の再編成に期待」という声が多かったことに注目した。それは政治に対する閉塞感の打開を既成政党には委ねられない、という思いが国民の間に強いことを意味するだろう▼与党が提出した法案を衆院で可決、それが参院に送られると否決に遭い、再び衆院に戻されて成立という、衆参のねじれ現象による結果を度々見せられると、この時間的ロスは大きいだけでなく、緊急を要する事案はどうなるのかという疑問がつきまとう▼ねじれ現象も有権者の選択によるものであり、議会制民主主義上やむを得ないことではあるが、しかし課題山積のこの時、その一つ一つを即決していかなければならない必要に迫られても、党利党略が優先するという「大局不在」の現状に国民は飽き飽きしている▼その答えが政界再編成への期待という形で表れているのだと思う。政権交代をより可能にする二大政党時代はよしとするが、しかし自民、民主両党共に、中味は羅針盤を欠いた「呉越同舟」状態であり、一つの法案をめぐってもしばしば党内対立を繰り返しているのは、元々「同志」ではなかったからだろう▼ここは両党を解党してガラガラポンし、志を同じにする同士が新党を作り、「自由党」と「民主党」に再編成したらどうか?そんな荒療治を期待する声が充ち満ちている。その際は当然としてダーク、グレーゾーンにいる方々にはご遠慮願いたい。 |
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| ☆★☆★2009年04月01日付 |
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| 「大船渡湾さ鯨が入って来たズ。見さ行くべ!」「本当が?行くべ、行くべ」なんて会話が交わされた時代もあった。今日四月一日は大手を振ってウソを言える日。毎日がそうならいい?発言の主は永田町あたり?▼エープリルフール。訳して四月馬鹿。「万愚節」ともいう。発祥は不明だが、一年に一度ぐらい罪のないウソをつける日があってもいい。しかし「ウソも方便」をいいことに、年柄年中ウソをついているご仁にはこの日ぐらい休んでいただくことにしよう▼それにしても、この日ばかりは大っぴらにウソを吹きまくっていた以前と比べて、近年はめったに聞かれなくなったのはなぜだろうか?それは心の余裕の問題でなかろうかという気がする。もともとユーモアセンスに欠ける民族で、たとえ一日でも人をだますということに罪悪感を覚えるのか、当時の年配者には抵抗があったようだ▼車など高嶺の花で、ろくな楽しみもない時代、若者はこんな他愛のない遊びで気をまぎらわしていたのかもしれないが、いずれ「さて、明日はどんな話で引っかけてやろうか」と前日あたりから構想を練っていたものだった。だが、いまや「本当?」と聞き返す代わりに「ウソっ?」とはなから疑問視する時代と変じてしまった▼こうなるとウソを言ってもはじまらない。最初から信じてくれないのだから、ウソをつく気力も起きない。こうして四月馬鹿は過去の遺物と化しつつある。「人を見たら泥棒と思え」というせちがらい世相もあずかって。 |
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| ☆★☆★2009年03月31日付 |
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| 「光陰矢のごとし」とはよく言ったもので、ついこの間新年を迎えたとばかり思っていたのに、きょうはもう平成二十年度の最終日。各学校や官公庁、あるいは民間企業でも年度末は大きな区切り▼中には、本日付で退職の方々もあると思われ、それぞれ職場は違えども「団塊の世代」の中軸として地域と日本経済の屋台骨を背負って来られた長年の努力に、敬意を申し上げたい。そしてまた、各職場での「送り人」はまた、明日からは「迎え人」ともなる。年度替わりの配置転換や新人を迎えて、互いに職場の空気を風通しの良いものとしていきたいものだ▼心機一転を期すのに年度替わりは絶好の機会ではあるが、一方では何か習い事をしていたり、健康に良いことを始めている場合など、年度替わりでご破算とするのではなく、ある程度続けることも大切ではなかろうか▼古代中国の話で、趙の国の人は歩く姿が理想とされた。そのため、燕の国の若者が趙の都邯鄲を訪れ、歩行術を学ぼうとしたが果たせず、途中であきらめて帰国した。その結果、趙人の歩き方を習得できなかったばかりでなく、もともとの歩き方さえも忘れ、四つん這いになって帰ったという故事がある▼「邯鄲の歩み」は、人ごとではない。区切りを付けない中途半端なままでは、かえって自らに禍が及ばないとも限らない。自戒を込めながら、とくに若い人たちには自分の寄って立つ場所を忘れることなく、学びの道が生涯続くことを祈りたい。 |
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| ☆★☆★2009年03月29日付 |
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| 「意を体す」というのは、暗黙の了解だから証拠が残らない。悪代官と出入りの商人の企みごとが、風車の弥七に盗み聞きされるようでは下の下。黙って「よしなに」と相手の懐に山吹色をしのばせるのを最上とする▼西松建設の違法献金は与野党双方に及んで、次々と新事実が明るみに出ているが、これによってこの会社が公共工事の受注のため「即効薬」の開発にどれほど涙ぐましい努力をしてきたか、そして実際その効能というか霊験あらたかなること、見事なまでに実績として表れていることを知らされた▼献金を受けた側は、当然として便宜供与を否定するが、西松建設が配った献金の巨額さと、工事受注件数の増大、受注範囲の拡大という比例式を眺めて、それを額面通りに受け取るお人好しがいたらお目に掛かりたいものである。ここでも「費用対効果」の数式が適用されてよかろう。国民の目は節穴ではない▼元首相、元閣僚らのパーティー券購入問題は、代金の「返却」によって「一件落着」したが、いずれ西松建設の「投網」は雑魚を狙ったものではなく、影響力を持つ大魚だけに的を絞ったものであることがうかがわれる。政治献金とは本来、国の将来を託せる政治家を育てるための浄財なはずだが、現実は「現在」を託す相手に限られている▼「水心あれば魚心あり」というが、政治献金の実体はこの格言に尽きる。贈る側、受け取る側それぞれ偽装にあの手この手を尽くしても、時に「上手の手から水が漏れる」ことがある。だから、わざわざ黄門様がお出ましになることもない。 |
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| ☆★☆★2009年03月28日付 |
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| 医療現場が大きく変わったことをいやでも実感せざるを得なかった。県立大船渡病院の駐車場を眺めての感想だ。診療のある平日は満杯で、道路にまではみだしていることもあったのに、この日は三分の一近くが空いていた▼この変化は医師不足が深刻になってからの現象で、診療に対応しきれないため「病診連携」が進み、病院への「一極集中」が解消された結果であろう。診療科にもよろうが、以前なら患者があふれていた待合室もガラガラ。何時間も待ったというのは過去のことか▼皇族方が利用され、秋篠宮妃殿下もここで出産された東京の愛育病院が、ハイリスクの妊産婦を受け入れる医療センターとしての指定解除を都に要請したのも、やはり医師不足によるものだった。当直医が足りず長時間労働となって、それが労基法違反に問われた現状に嫌気がさしたのだろう▼県立花巻厚生、県立北上の両病院を統合した県立中部病院が落成したが、ここでも全診療科に医師を確保できず、仏を作っても魂が入らぬ状態。いくらハードが整っても診療というソフトが伴わなければただの箱になってしまう▼住田地域診療センターが来月からついに無床化に追い込まれることになったのも、知事を土下座させるほどこの問題が「末期的症状」にあることを物語る。全国津々浦々「医療過疎化」に悲鳴をあげているのに、国という藪医者はなんらの手当もできずにいる。かって非難されたその「乱診乱療」すらも受けられなくなったこの病根を摘出できる名医は、少なくとも永田町には見当たらない。 |
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| ☆★☆★2009年03月27日付 |
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| 「風邪は万病の元」というが、当節はもっと強力な元が登場した。ストレスというやつである。英語の辞書を引くと、圧迫、圧力、抑圧、緊張、緊迫─とおどろおどろしい訳語が並ぶ。手強い相手である▼頻発する理解困難な凶悪事件の動機を見ると、その根源にあるのが強度のストレスであることがうかがわれる。「誰でもいい。とにかく人を殺したかった」などという意味不明の殺意に巻き込まれるほど割に合わないことはないが、そこまで人を追い込むこの「精神菌」を退治する方法はないものか?▼「苦のない家庭はない」という。一見幸せそうに見える家庭にも必ず何かの苦があるはずである。そこで苦しさをまぎらすために、精神安定剤、睡眠剤などの薬に頼る方法もあるにはあるが、それは一時的な対症療法であり、根源を取り除かなくてはどこまでも苦しみ続ける▼医学上でも、ストレスが万病を引き起こす原因となることが明らかにされているが、これは一生不可避の相手であり、ならば付き合い方を探るしかない。それはストレスと「共生」すること、つまり接すれどもシカト(無視)する以外にない▼これが案外難しい。だが、金はともかく、ストレスをためても利息はつかないから、考え方を改めることが最大の解消法だろう。その早道は「下には下がある」と視点を変えることである。世界一の不幸者は自分よりずっと下の下にいると思えば気が楽になる。それともワライタケでも食べて一生笑って暮らしますかな。 |
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| ☆★☆★2009年03月26日付 |
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| 不可視透明、無味無臭。誰もがその存在も実体も認識できないのに、生物にとって不可欠な「空気」というものが地球上をおおっているという不思議。そんなものがあるとただ信じるしかないが、その空気を「読む」となれば、これは別問題だ▼西松建設からの違法献金容疑で公設秘書が逮捕された小沢一郎民主党代表は、秘書が起訴された同日、続投を表明した。水に落ちた状況にある自民党を叩くチャンスをうかがう民主党にとって、党の顔である小沢氏の続投なしに選挙は戦えないというお家事情はわかるが、しかし時と場合という風も読まねばなるまい▼献金はあくまで合法だから、検察ととことん戦い抜くというのなら、ここはぬれぎぬをはらすためにも小沢氏は辞任し、政治家一個人として筋を通すべきだろう。西松建設は同氏側に年間二千五百万円前後を献金、その総額は三億円に達するという。たとえ合法だとしても、常識を超える額であり、説明責任が問われる理由がそこに存する▼昨日の新聞各紙はニュアンスこそ異なれ、続投に疑問符を一様に呈していた。また昨日のNHKは地検の取り調べに対し、起訴された大久保秘書が西松側からの献金と認識していたと、従来の供述を翻したことを報じている。空気の流れは大きく変化してきている▼民主党は正面突破を選んだ。しかし背後を衝かれ退路を失いかねないこの陣形が、党の保身から出たものならそれは戦略と呼べまい。国民感情という見えぬ敵を勘定に入れないと、天下取りなど一炊の夢に終わるだろう。 |
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| ☆★☆★2009年03月25日付 |
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| 侍ジャパンよくやった。と、まずは祝福を送りたい。WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)は昨日決勝戦が行われ、日本が五度目の対戦となった韓国を2点差で下して連覇した▼野球については、いやスポーツ全般に実技はダメ、観戦も滅多にしないという運動音痴だが、この日ばかりはかなりを部分観戦した。岩隈の好投についで杉内、そして九回裏からはダルビッシュと看板投手たちが継投して、1点を守り抜くかに見えたが、宿敵韓国の気迫もさすが。ついに同点となって延長戦にもつれこんだ▼息詰まるような場面が続き、もしかしたらといやな予感もよぎったが、最初の打席に立った内川が見事ヒットで出塁、続く稲葉が送りバントに成功して大活躍中の岩村に後続を託した。岩村はその期待に見事に応えてヒットを放ち、一、三塁に駒を進め、その後2アウト二、三塁に。さあ、ここでイチローが登場。最大のヤマ場を迎えた▼本来ならドキドキする場面だが、なぜか落ち着いて見られたのは、やはり彼なら何かをしてくれるのではないかという期待があったからだろう。大リーグでの突出した活躍だけでなく、侍ジャパンのリーダーとして前回、今回ともチームを引っ張ってきた男、いや文字通り侍の姿をそこに見るからか▼まさしくその期待が本物になった。粘りに粘って放った一打が見事適時打となり、二者生還、韓国を突き放したこの2点を守ってついに連覇の金字塔が打ち立てられたのだ。すごいの一語に尽きる。ありがとうイチロー。日本人全員が自信を取り戻した瞬間。これが飲まずにおられようか。 |
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| ☆★☆★2009年03月24日付 |
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| 市役所から配られたエコ問題に関するアンケートに答えたら、評点をもらった。なんとか合格点だが、大概がこんなところだろう。なるほどエコは大切だが、文明の利器や利便性に慣れてしまうと、総論より各論が先行してしまう▼地球の温暖化は温室効果ガスのせいというのが、いまや世界の趨勢となっている。しかし地球という天体が、人間のちっぽけな営みのためにそんなに影響を受けるのだろうかという素朴な疑問はいまだ抜けきれない。氷河期があったのだから、その逆の温暖期があっても不思議ではない▼とはいえ、温室効果ガス、とりわけ二酸化炭素が削減されるのは大いに結構なことであり、これは世界が協調してどこまでも追求すべき課題であろう。ただ、各国の間には「温度差」があり、米国のように京都議定書の批准を拒否する大国があると思えば、中国のように「途上国」だから対象外だといいだす国もある。足並みが揃うのは困難だ▼わが国における二酸化炭素の排出削減は目標値に届かず、逆に増えている。目標達成のためには、排出権を外国から買うようになるかもしれず、これは頭痛の種になりかねない。まず産業界が垂範に総力をあげねばなるまい▼ひるがえって個人の場合だが、これは限界がある。便利さにどっぷり浸ってきただけに、エコに努力しても辛うじて合格点がいいところか。そのためにも、省エネ機器、クリーンカーなどの開発促進が焦眉の急で、光熱費はじめ家計の負担が軽くなれば、購買力も増し景気がよくなる。自分のことは棚にあげてそんな一石二鳥効果を期待する情けなさ。 |
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