2009年4月3日
【1】首都ハラレから南西へ130キロ、人口約10万人のカドマ市の、MSFのコレラ治療センター(1月撮影)。カドマ市でMSFは3月第3週に前週の5割増の123人の患者を受け入れた。
【2】2月、東北部のマショナランド州ビンドゥラで終息しつつあった流行が急激に再拡大し、診療所に治療を受ける患者が屋外まであふれた。MSFが支援するこの治療拠点に政府から派遣された看護師たちは、給料も食事も支給されないまま、患者を助けるために働いていた。
【3】人口の多い住宅地では、家々からの汚水がそのまま道路に流れ、川をつくっている。住民の話ではハラレのこの地区では昨年8月から半年以上この状態が続いているという。
【4】ハラレ近郊で見られる、自動車のタイヤを利用した家庭用の井戸。同じ庭の中にトイレが建てられていることも多く、雨が降るとあふれた汚水が井戸の飲用水に混じる危険がある。
【5】コレラ闘病を乗り越えて、健康そのものの女の子を出産したマリア。赤ちゃんは、現地の言葉で 「私たちは栄誉を授かった」という意味をもつ、「タクズワ」と名づけた。
【6】MSFが設置した飲用水のポンプに並ぶ住民たち。一日約5千人がここで塩素消毒ずみの安全な水を入手している。
【1】人びとを襲うコレラ渦
かつて安定した経済を誇ったジンバブエでは、2000年以来の失政により政情不安と経済危機が悪化をつづけ、この国で暮らす人びとの生命を極限にまで追いつめている。なかでも昨年夏に首都ハラレから広がったコレラ感染は近年に例を見ない大流行になり、数カ月前までは最終的に5万人と予想されていた感染者の数が3月に9万人を超え、これまでに4千人以上の命が失われた。激しい脱水症状を引き起こし、治療が遅れれば死をもたらすこの水因性の感染症は、ハラレを含む都市部からいったん農村地域に舞台を移して猛威をふるったのち、ふたたび都市部で犠牲者の数を増やしており、数百人にのぼる国境なき医師団(MSF)のスタッフも治療と予防のため活動に奔走している。
【2】「物がない、食糧がない」
極度のインフレ、給料の不払いで生活がなりたたなくなったジンバブエから、すでに約300万人が隣国の南アフリカ共和国に脱出したとみられている。物価上昇に加え治安の悪化や干ばつが農作物の不作を招き、さらに例年2月から3月は収穫期を前にした食糧不足のピークの時期であるため、栄養失調の増大も懸念されている。コレラ治療施設で働く政府の看護師たちも数カ月間給料の支払いがなく、職場でも食べ物を支給されていない。患者たちにも食事は出ない。多くの医療施設が人材、物資、賃金の不足のため閉鎖され、残った病院は患者に外貨での高額な診療費を求めている。
【3】「町に衛生がない」
公務員の給料が支払われない状況で、行政機能はすでに長期にわたってまひしている。ゴミの収集も下水道の管理もストップしている。住宅地のあちこちに何カ月も積み上げられたままのゴミが山をなし、雨が降ればその異臭を放つ山を浸透した水が地下水に合流する。街路沿いの排水溝からあふれ出した未処理の汚水が路上に流れて小川になっている住宅地もある。そのすぐ横で、近所の子どもたちが遊び、大人たちは生活のために行き来している。
【4】「安全な水がない」
ハラレ南西部郊外の住宅密集地では上水道の供給が止まり、6万5千人が安全な飲用水を得られなくなっている。住民の一人は、自宅の水道から水が出なくなって1年以上たつという。「もう、いつ復活するかわからないよ。おかげでコレラが流行しているんだ。中には汚れた水をくんで使っている人もいる。私たちは他の重要な用事を後回しにして、水くみに日々ほとんどの時間を費やしている」。地下水の汚染の危険性が周知されておらず、水を煮沸するための燃料費も値が張るために、貯水池や井戸の水をそのまま飲み、感染が広がっているケースもある。
【5】「医療が受けられない」
2月にハラレ近郊のMSFのコレラ治療センターに運び込まれた重症患者の一人、マリアは、当時妊娠9カ月だった。もう数日間おなかの子どもが動いていないという。産婦人科医に見せているかという質問に、彼女はすぐに答えなかった。いま現地の病院では出産費用として50米ドルは求められる。とても支払う余地のないマリアは家で出産する決心だった。1カ月後、コレラ治療を終えて郊外の自宅に戻ったマリアを訪ねてみると、赤ちゃんは無事に産まれていた。退院の2日後に出産したという。その幸運を、MSFのスタッフはともに喜びあったが、将来の不安は消えていない。マリアには出産後の健診を受ける費用も、4人いる子どもたちに予防接種を受けさせる費用もない。
【6】感染拡大との闘い
MSFは現在、ジンバブエ各地でコレラの集中治療のための医療施設を設置し、移動診療を行って患者の治療にあたるとともに、感染の連鎖をくいとめるため、予防活動の拡大に取り組んでいる。感染リスクが高い地域を探し、飲用水に塩素消毒を行って無料で配布し、汚れた水からコレラに感染する危険性を人びとに周知する活動を展開している。水質汚染が著しい地域には清潔な共同トイレや、飲用水のポンプを設置しており、住民たちは喜んでその管理を引き受けてくれている。ジンバブエの人びととともに、コレラとの闘いはつづく。
MSFのジンバブエにおける活動の詳細はこちらから。
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