[System Environment] | ||||||||||||
caclsコマンドの出力の見方
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解説 |
TIPS「アクセス制御リストACLとは?」や「有効なファイル・アクセス権を調査する」では、Windows OS(正確にはNTFS)の持つファイルのアクセス制御リスト(Access Control List、以下ACL)について解説した。これらのTIPSでは、ACLの概要や「有効なACL」の確認方法について説明しているので、参考にしていただきたい。
ACLの設定や確認には、エクスプローラの[プロパティ]ダイアログを利用するのが一般的であるが、コマンド・プロンプト上で実行したい場合もある。多数のファイルやフォルダのACLをまとめて確認したり、設定を変更したりするには、CUIのツールの方が便利だからだ。
コマンド・プロンプト上でACLの内容を確認したり、設定し直したりするには、cacls.exeというコマンドが利用できる(サポート・ツールにはxcacls.exeという、ほぼ同等の機能を持つスクリプトも用意されている)。本TIPSでは、cacls.exeコマンドの出力の見方(表示されたACLの意味)について解説する。ACLを設定/変更する方法については今後、別TIPSで取り上げる。
操作方法 |
cacls.exeコマンドは、ファイルやフォルダに対して設定されているACLの内容を確認したり、変更したりするために利用するコマンドラインのツールである。ACLは(複数の)ACE(Access Control Entry、アクセス制御エントリ)の組み合わせで構成されているが、それらACEの内容をすべて表示させたり、ACEを追加/削除したり、既存のACEの内容を編集したりすることができる。だが、このコマンドの出力形式はやや分かりづらいので、本TIPSで解説する。
caclsコマンドの使い方
caclsコマンドを引数なしで実行すると、次のように使い方が表示される。
C:\>cacls |
caclsコマンドによるACLの表示
caclsに続けて、ファイル名やフォルダ名(ワイルドカードも利用可)を指定すると、それらのACLが1ファイル/フォルダずつ表示される。
例えば、次のようなACLが設定されたフォルダがあるとする。
このフォルダの内容をcaclsコマンドで出力させると、次のようになる。
caclsによるACLの表示例 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
これは、上の画面と同じACLを、caclsコマンドで表示させた場合の例である。このフォルダのACLには、全部で8つのACEが含まれていることが分かる(これは上のプロパティ画面のACEの数と一致している)。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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caclsの結果は次のようになっている。
最初に(一番左に)表示されているのが、対象となるファイルやフォルダの名称である()。この例では、C:\Folder\user01というフォルダのACLを表示させている。
その右に表示されているのが、ACLを構成する各ACEの要素である。基本的なフォーマットは、「ACEのアカウント名:アクセス権」か、「ACEのアカウント名:ACEの適用先 アクセス権」となる。ACEは1行ずつ表示されるが、上ののように、特殊なアクセス権では複数行にまたがって表示されることがある。
■アカウント名()
アカウント名は、ローカルのコンピュータ上のアカウントの場合は「コンピュータ名\アカウント名」となり、ドメイン・アカウントの場合は「ドメイン\アカウント名」となる。
■ACEの適用先()
このACEの適用先という情報は、フォルダの場合にしか存在しないものであり、先のセキュリティ画面では、の「適用先」という欄に相当する。ここには「(OI)」や「(CI)」「(IO)」という文字列(およびその組み合わせ)が表示されているが、それぞれ、次のような意味を持っている。
表示名 | 意味 |
(OI) | Object Inheritの略。このフォルダ(この例ではuser01フォルダ)中に作成されたファイルにのみ適用する。適用先の「このフォルダとファイル」に相当 |
(CI) | Container Inheritの略。このフォルダ中に作成されたサブフォルダにのみ適用する |
(IO) | Inherit Onlyの略。このフォルダには適用せず、その中に作成されたファイルやフォルダにのみ適用する |
(IO)(CI) | このフォルダにのみ適用する |
(OI)(CI)(IO) | このフォルダ、サブフォルダ、およびファイルに適用する |
(CI)(IO) | サブフォルダにのみ適用する |
(OI)(IO) | ファイルにのみ適用する |
(なし) | このファイルやフォルダにのみ適用し、サブフォルダへは適用しない |
ACEの適用先文字列の意味 | |
フォルダの場合は、このように、ACEをどこに適用するかを指定するための文字列が表示される。 |
■アクセス権
そのファイルやフォルダに適用されるアクセス権。ただし先頭に「(DENY)」という表示が付いている場合は()、その操作が拒否される。アクセス権は、実際には10個以上の個別の権限の集合であるが、代表的なものについては以下のように1文字の省略形が用意されている。
表示 |
意味 |
F |
フルコントロール。すべての操作が対象となる |
W |
書き込み可能 |
R |
読み出しのみ可能 |
C |
変更(書き込み)可能 |
N |
アクセス権なし |
アクセス権の省略型表示 |
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