2009年4月1日

ランナーが1塁に出ると、打順は無視で、
ピッチャーがそこに割り込んできます。
送りバントの練習をするために登場するのです。
相手はアスレチックスの３Ａ。
シーズン前のマイナーリーグの試合は、
どこかのんびりとしています。

バッテイング・コーチのボン（ジョシュア）なんて、
奥さんが見に来ているものだから、
ダグアウトから出て行って、
すぐ隣にあるお客さん用のベンチで観戦。
よーく見たら、うちのヨメと3人で楽しそうに話しています。
どうやらヨメ、デモイン情報を収集している様子。
トイレに行くためには、その目の前を通らなければいけません。
カッチャカッチャとスパイクの音を響かせながら、
「ヨッ！」と言って通り過ぎ、
再び「じゃーねー」「げんきー？（ヨメ）」「うんー！」
と言葉を交わしてベンチに帰る。
なんやこの和気あいあいは。

今にも女子マネージャーが、凍らせたタオルと輪切りのレモンを持って駆け寄ってきそうやね。

アリゾナ州メサにて　田口壮　

2009年3月31日

どうもおかしい。イニングが２アウトで終わってしまうのです。
どうやらアウトカウントではなく、ピッチャーの球数によって
強制終了していたようです。
ピッチャーが乱れて球数が多くなれば、
１アウトで次の回、ということもあったのでしょう。
相手はエンゼルスの３Ａ、ソルトレーク・ビーズでしたが、
試合というより合同練習。
フィールドも、一見芝はきれいですが、外野はぼっこぼこです。
バックネット裏にちんまり置いてあるベンチに座っているのは、
突然見に来たうちの家族と、あとは数人だけ。
父と母、ヨメがぼそぼそと、
「草野球？」「草野球？」と陰口を叩いておりました。
聞こえとんねん！

先発ではなかったのですが、
1回の表にヒットで出た選手が怪我をしたため、
急遽代走で出場。そのあと1回の裏を守ったら、
「お疲れさん！いやー、今日はソウ、
休日だったのに悪かったねー」とコーチ。
しかも、
「今日、別に来なくてもよかったのにねー」だって。

別に来たくはなかったのにねー。

アイオワ州デモインにて　田口壮　

2009年3月30日

アイオワ・カブスの田口壮です。背番号は29番です。
どうぞよろしくお願いします。
ダグ（ディード・外野手）の背番号も29番です。
どうぞよろしくお願いします。

同じ背番号の選手が他にもいるとか、
並んだフィールド2面で３Ａと２Ａが試合をするため、
片方のファウルが飛んでくると中断するとか、
ホームでリードしているのに、9回裏も存在するとか、
なんだかもう、それだけでおなかいっぱい。

しかも、クラブハウスに入ると
「場違いです」というムードが漂うのです。
若くてメジャー経験もほとんどない彼らと、
プロ18年目、一応メジャーで何年かやっている
39歳の僕では、場数だけなら天と地ほども違います。
（これがタグチかあ・・・）
（ワールドシリーズ3回出てるんだって）
（もうベテランだろ）といった、
（なのになんでここにいるの？）という目に囲まれていると、
まだ26歳だという韓国から来たコーチが、
にこやかに話しかけてくれました。
「うわあ！田口さん！中学校のとき、
オリックス時代の田口さんのプレーをよく見ていました！」

ぐいっとダメ押し。

ところで、中年の希望の星、
41歳のマイク（スタントン・投手）がリリースされてしまいました。
違和感いっぱいでも、まずはここにいられるということに感謝しなければ、マイクに申し訳が立ちません。

タオルが1日1枚しか使えない？
ポコやマロみたいに、ぷるぷるすれば乾燥します。
シャワーにシャンプーがない？
石鹸で洗えばいいのです。
食事をもらうのに並ばないといけない？
並べばもらえるんだから並びましょう。

この経験も、また数年後には楽しい思い出話になるはずです。
そうしてみせます。

アイオワ州デモインにて　田口壮　

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