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【埼玉】

『2人の子ども助けて』行田民家火災 母親、泣きながら119番

2009年4月3日

焼け跡から2人の遺体が見つかった黒沢さん宅=行田市で

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 行田市持田三の黒沢紀代美さん(28)方が全焼した二日の火災は、子供とみられる二人の命を奪った。四人の子と自宅にいた黒沢さんは、一階にいた二人の子を連れて屋外に逃げたが、二階に二人が残った自宅はその時、炎に包まれていた。火災を目撃した近所の女性(61)は「活発で明るくて、とてもいい子たち。かわいそうで…」と涙をにじませた。

 行田署は二人の遺体は黒沢さんの長女夢姫(いぶき)ちゃん(6つ)と次男夢空(むあ)君(5つ)とみて確認を急いでいる。

 女性によると、洗濯物を取り込むため二階のベランダに出た次女(31)が、黒沢さん宅の二階から真っ黒な煙が上がっているのを見つけた。女性は急いで外へ出ると、はだしの黒沢さんが自宅前で長男、三男とともに泣きながら携帯電話で一一九番通報しているところだったという。

 黒沢さんは「二階に子どもが二人いる、どうしよう、助けてー」と叫んでいたが、煙がすさまじく、助けに入れなかった。消防車の到着を待つ間に火の手が屋根を突き破った。

 二階からは夢姫ちゃんの泣き声が聞こえ、黒沢さんも「いぶー、いぶー」と叫んでいたという。

 夢姫ちゃんら四兄弟は仲が良く、いつも近所でボール遊びや追いかけっこしていた。夢姫ちゃんは一週間後には地元の小学校に入学予定で、長男と一緒に通うのを楽しみにしていたという。

 夢姫ちゃんが通っていた幼稚園の担任教諭(24)は「卒園式の日、小学校楽しみだね、と声をかけたら、ランドセル見せてあげるねって言ってくれた」と憔悴(しょうすい)しきった様子で涙をこらえていた。

 

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