【社会】北ミサイル“秒読み”で中部の自治体警戒 「情報伝達間に合わぬ」2009年4月2日 朝刊
北朝鮮が「人工衛星」とする長距離弾道ミサイルの打ち上げが、秒読みに入った。国内に落下する可能性は低いとみられるが、早ければ4日とされる“Xデー”に向け、中部地方の自治体などでも警戒準備が本格化。ただ、到達までの時間は10分程度とされ、「落下の恐れがあっても、住民への事前の情報伝達は間に合わない」との声が目立つ。 中部地方は予想される飛行コースからも外れており、危険度はかなり低いとされる。それでも、愛知県防災局は週末にあたる4、5の両日、通常の日直らに加えて数人の職員を特別に出勤させ警戒する。 仮に同県内に被害の恐れがあれば、消防庁からの情報を高度情報通信システムを使って市町村や消防本部に一斉にファクスで転送。例えば、同県幸田町ではファクス連絡が町消防本部に入った場合、総務部へ電話で伝え、担当者が対策本部を設置する。 ただ、県担当者は「事前に住民に避難を呼び掛けるのには間に合わないだろう」と明かす。また別の担当者は「もし住民が事前に情報を得ても、実際はシェルターなどがなければ対応に困る人が多いのでは」と話す。 国から市町村に情報をメールで送信する「エムネット」と呼ばれるシステムもあるが、同県内の導入市町村は半数以下にとどまる。 名古屋市は被害に備えて態勢を強化するが、市民への事前周知は想定していない。岐阜県も「できる限り手を尽くすが、速報性はテレビやラジオが一番」と認める。 三重県は国から緊急情報が流れた場合、市町などに庁内スピーカーとファクスで一斉通報する。「どの段階でどんな情報を住民に伝えるか判断が難しい。不安をあおらないようにしたい」という。 福井県は4、5の両日、危機対策・防災課職員21人のうち、半数以上が休日出勤の構えだ。発射が間違いなければ全員が出勤。2日に訓練もする。 一方、愛知県警は総合警備対策本部を設置した。「在日朝鮮人への脅迫や、関連施設に対する抗議活動などへの懸念も大きい」と情報収集を強化。週末は警戒要員を確保して即応態勢をとる。 陸上自衛隊守山駐屯地(名古屋市守山区)の第10師団は「この地方への影響は極めて低い」とし、特別な態勢は予定していない。
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