民主党の小沢一郎代表の進退を巡り、菅直人代表代行が小沢氏の公設第1秘書が起訴される前の3月20日、小沢氏に辞任を求めていたことが1日、明らかになった。菅氏が代表だった04年、国民年金未加入問題で辞任に追い込まれた経験を引き合いに「世論の流れは変えられない」として、代表を退く代わりに選挙実務を仕切る「選対本部長」に就くよう求めていた。
辞任を求めたのは3月20日夜、東京・赤坂の日本料理店で小沢氏と鳩山由紀夫幹事長と3人で会食した席上。党幹部らによると、菅氏はこの席で、意を決した表情で小沢氏に「代表を辞めたらどうですか」と提案した。
菅氏は、04年の国民年金未加入問題で、当時の福田康夫官房長官の辞任に促される形で党代表を辞任した。菅氏の後任に内定した小沢氏も自らの未加入が発覚し辞退、結局岡田克也氏(現副代表)が代表に就任するというドタバタになった。
菅氏はこの経験を語りながら「いったん世論の批判を浴びたら流れは変えられませんよ」と指摘。「選対本部長をやったらどうですか。党内で立場を確保する形で辞めたらいいと思います」と辞任を促した。小沢氏は「ありがとう」と言葉少なだったという。
小沢氏は06年の代表就任当初から、本来幹事長が取り仕切る公認決定、資金配分などの選挙実務を自ら仕切り、「スーパー選対委員長」(幹部)と目されている。「小沢選対本部長」案には、小沢氏から代表の肩書を外して世論の批判をかわす一方で、選挙に対する実権は残し、小沢体制の下で構築してきた選挙態勢に与えるダメージを最小限にとどめる思惑がうかがえる。ただ、小沢氏は選挙区の情勢調査結果を党内で公表しておらず、秘密主義に批判もある。前原誠司副代表は1日、CSの報道番組で、小沢氏が月内に情勢調査を実施する方針を示したことに関し「結果をディスクローズ(開示)し、党内全体で議論するのが大事」と注文した。【白戸圭一、野口武則】
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