片岡愛之助、中村獅童、黒木メイサ、南沢奈央が共演する話題の新作「赤い城黒い砂」(栗山民也演出)が、11日から東京・日比谷の日生劇場で上演される。原作はシェークスピアとジョン・フレッチャーの共作とされる「二人の貴公子」。岸田戯曲賞を受賞した気鋭の劇作家、蓬莱竜太が脚本化した。
黒い国の英雄、ジンク(愛之助)とカタリ(獅童)はいとこの間柄。2人は赤い国との戦争で捕虜になる。野心家のジンクは釈放されたが、身分を偽って赤い国の王に仕え、王女のナジャ(黒木)に近づく。一方、ナジャにひかれていたカタリは、彼に恋する牢番(ろうばん)の娘ココ(南沢)の手引きで脱獄する。
冷静なジンクと激しいカタリ。愛之助は「あて書きだとうかがい、私は腹黒いのかと(笑い)。ジンクは頭を使うタイプで、カタリに比べて立ち回りが少ない。2人の対照がその分よく出ていると思います」。
カタリは捕らわれたうえに、ジンクにも裏切られ、辛酸をなめる。獅童は「牢獄に入ってから感情が変化しだす。ジンクに対しては憎しみと愛情の両方がある。栗山さんには『全員獣になってくれ』と言われました」。
ナジャは武芸に秀で、戦場ではカタリと立ち回る。父王(中山仁)には複雑な思いを抱いている。黒木は「栗山さんは『ナジャは愛を感じていない女で、強くて冷たい』とおっしゃいました。ジンクとカタリに会い、初めて愛を知り、裏切りを経験します」。
ココはカタリによって、牢獄の外に目を開かされる。南沢は初舞台。「黒木さんの舞台(「あずみ」)にあこがれ、この仕事に入りました。その黒木さんとご一緒できるのがうれしい。ココは素直に感情を出す人間です。けいこ場で見聞きするすべてが知らないことばかりなので、いろいろ吸収したいと思います」
26日まで。問い合わせは03・5565・6000へ。【小玉祥子】
毎日新聞 2009年4月2日 東京夕刊