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「召使の国」と香港誌に書かれフィリピン怒る 南沙問題

2009年4月2日6時40分

 【マニラ=松井健、香港=奥寺淳】南シナ海の南沙(スプラトリー)諸島の領有権を巡り中国とフィリピンの緊張が高まる中、香港の雑誌にフィリピンを「召使の国」と呼んでからかうコラムが掲載された。フィリピンには領有権を主張する資格がないとする内容。フィリピン側は「人種差別だ」と激怒している。

 コラムニストのチップ・ツァオ氏が3月27日付の香港誌「HKマガジン」の「家庭での戦争」と題したコラムで、南沙問題にからみ、「召使の国がパンとバターを稼がせてもらっている主人に対しては力を誇示できない」と冷笑。香港をはじめ世界各地で多くのフィリピン人が家政婦(メード)として働いていることからと見られる。

 ツァオ氏はさらに、自宅で雇っているフィリピン人家政婦に「給料を上げて欲しければ、フィリピン人の仲間たちにスプラトリーは中国のものだと伝えるように警告した」「スプラトリーという言葉を聞いたらメードに『中国です、ご主人様』と叫ばせるようにした友達がいる」などと記した。

 これに対し、フィリピンで国会議員や海外就労者団体などが強く抗議。ツァオ氏宅の家政婦の就労状況を調べるよう求めたり、香港で働くフィリピン人家政婦たちにストライキを呼びかけたりする発言も。フィリピン入管当局もツァオ氏を入国禁止リストに載せた。掲載した雑誌も、ツァオ氏も謝罪に追い込まれた。

 南沙諸島を巡っては、フィリピンが3月に一部を自国領とする法律を制定したことに中国やベトナムなどが反発。中国は南シナ海に大型の監視船を派遣する行動に出た。

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