韓国とEUが自由貿易協定(FTA)を締結、日本輸出産業へのインパクト甚大(2) - 09/04/02 | 12:19


 この基本方針は、(1)FTA締結による自由貿易の発展と国内構造改革の推進、(2)外交戦略上の目的、(3)東アジア中心のEPA戦略、(4)FTA交渉相手国の決定に関して、(5)FTA以外の選択肢に関して、(6)交渉過程における効率化と民間との連携、の6項目で構成され、日本のFTA交渉における目的、長期的な方針、交渉に向けた戦略性を規定している。

 また、具体的なロードマップは、2008年6月閣議決定の「経済財政改革の基本方針2008」および別表「2010年に向けたEPA工程表」により、FTA政策の達成目標が示されている。

 一方、韓国のマクロスケジュールは2007年7月6日発表の「Korea's FTA Policy」に要約されている。この資料には、FTA推進の理由として、(1)リージョナリズムの進展、(2)WTO体制の行き詰まり、(3)巨大経済圏や新興市場との関係強化、という3点を掲げている。

 またその手段として、(1)ハイレベルで包括的な自由化、(2)同時多発的なFTA交渉の推進、(3)官と民によるFTA推進、という3点を掲げている。また、具体的なロードマップに関しては、2003年8月策定の「FTAロードマップ(2004年5月拡充)」や2004年5月策定の大統領訓令「自由貿易協定手続き規定」が挙げられる。

 日韓ではFTA推進の態度に大きな違いが見られる。韓国はFTA戦略として、FTA交渉を複数国対象に「同時多発的」に行うことを目指しているが、日本は交渉相手国の政治経済事情や交渉のしやすさなどを総合的に考慮しつつ、FTA以外の選択肢も考慮に入れながらFTA締結を目指している。

 この両者のFTA推進に対する姿勢の違いは、FTA交渉における交渉速度に差をもたらす要因であると考える。



 その他にも政府の交渉体制(韓国外務通商部にはFTA局がある)、FTAに関する研究機関の支援体制(大学にFTA研究所を設置)などが挙げられる。

 やはり、外務省、経済産業省、財務省、そして農林水産省と頭が4つもあるような日本の体制ではFTAもなかなか戦略的には進まないだろう。政治のイニシアティブが必要な政策分野であろう。
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