ここから本文エリア 荒波へ 春スタート2009年04月02日
金融不安、医師・看護師不足、少子化、不祥事……。さまざまな困難を抱えながら迎えた新年度。1日、官公庁や企業では辞令交付式、大学では入学式があり、逆境を乗り越えて前へ進もうという意気込みがあちこちで聞かれた。 ■金融危機の中 信頼関係誓う・南都銀行 金融危機の影響で保有する株価が急落するなど業績が悪化した南都銀行。奈良市の本店であった入行式では、新入行員193人を前に、植野康夫頭取が「ゴルフの石川遼選手のように夢と情熱を持って臨めば、どんな難しい状況にも打ち勝つことができるはず。世の中の変化にいかに対応できるかが肝要」とあいさつ。10年ぶりに変更された女子行員の制服は「信頼感」をテーマにデザインしたといい、新入行員代表の今田悠(はるか)さん(23)は「地域の経済・社会の安定が何より大切で、それをもたらすのは人と人との信頼関係」と述べた。 ■「こども学科」113人が1期生・帝塚山大 少子化が進む中、現代生活学部内に「こども学科」が新設された帝塚山大の入学式が奈良市の県文化会館であり、113人が晴れて1期生となった。保育士、幼稚園教諭(一種)、小学校教諭(一種)の三つの資格が取得でき、子どもの発達に応じた食育なども授業で取り入れる。入学した愛媛県今治市の豊浦由貴さん(18)は引っ込み思案だった小学4年のときの担任の女性教員が、積極的に声をかけてくれたことが忘れられないという。「そんな先生になりたい。子どもが少ないからこそ、もっと学校教育をちゃんとしないといけない」と気を引き締めた。 ■医師ら確保へ対策室設置・県 医師・看護師不足に悩む県では地域医療連携課に「医師・看護師確保対策室」(9人)ができた。杉山孝室長(48)は「タフな仕事になるが、県民の期待をやりがいに変えて頑張っていこう」とあいさつ。杉山室長は元県立医大総務課長補佐で、学生の奨学金制度や入試で県内学生枠を設けるなどの改革に取り組んできた。「学生や医師らに県内の病院を就職先に選んでもらえるよう、自ら面談もしたい」と意気込みを語った。また、荒井正吾知事はこの日、新採用職員や部局長ら計90人に「失敗がなければ成功はない。上司に褒められようとうまくやるより、素直な気持ちで仕事してほしい」と話した。 ■子や女性守れ対策室で対応・県警 捜査情報の漏洩や警部補の汚職事件が発覚し、再発防止や信頼回復の取り組みを続ける県警本部。新年度は生活安全企画課に「子ども・女性安全対策室」が新設された。声かけやつきまといなどの情報があった場合に迅速に対応し、予防的な活動を目指す。森田幸典本部長は配属の22人に、刑事部門との連携強化などを指示。室長の中上広平警視は「安全で安心して暮らせる地域社会の実現に向け、職務に邁進(まいしん)する」と誓った。 ■菅谷新所長は社会貢献訴え・橿原研 橿原市の県立橿原考古学研究所では、新所長に就任した菅谷文則・滋賀県立大名誉教授が職員約60人を前に訓示。所長職は非常勤だが、菅谷氏は週4回以上出勤するといい、「一言で言うと、うるさくなると思う」と笑わせた。「調査、研究だけでなく、社会貢献にも力を入れる必要がある」と話し、市町村とのさらなる連携や県内文化財の基礎データの集計、情報公開などに取り組むとした。 ■遷都1300年祭へ資金集め本腰・事業協会 平城遷都1300年祭の開幕を9カ月後に控えた県などでつくる事業協会。企業からの寄付金集めが難航する中、事務局は昨年度より20人増の89人態勢になった。林洋事務局長は「大変厳しい経済状況の中で20億円の民間資金を確保しないといけない」と述べ、「100年に1度の事業を進めることに自信と誇りを」「最少のコストで最大の成果を」などと呼びかけた。
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