職場での受動喫煙が原因で化学物質過敏症になったとして、北海道砂川市の男性(35)が勤務する滝川市の建設資材製造会社を相手取り慰謝料など約2300万円の支払いを求めた訴訟は、札幌地裁滝川支部(守山修生裁判官)で和解していたことが分かった。会社側が男性に700万円を支払う。関係者によると、受動喫煙を巡り会社が従業員に払った解決金としては最高額。
和解は3月4日付。訴状などによると、男性の職場では従業員の半数以上が喫煙しており頭痛などに悩まされたため、分煙を要望したところ解雇された。男性は不当解雇だとして08年1月に提訴。会社が分煙措置を取って解雇を撤回したため職場復帰したが、症状が悪化して化学物質過敏症と診断された。
男性側は訴訟で「会社は受動喫煙防止を義務付けた健康増進法に違反」と主張。会社側は「男性の過敏体質が根本的原因」と受動喫煙と化学物質過敏症の因果関係を認めなかったが、今年2月に裁判官が和解勧告した。
男性は「受動喫煙による化学物質過敏症患者を生み出さない世の中になってほしい」とコメントを出した。【水戸健一】
毎日新聞 2009年4月2日 東京朝刊