モノ作りの明日(5)

March
24
2009

 後継者がいない・・・よく中小製造業で話題になる後継者問題ですが、私はこの「後継者不足」に関しては、非常に否定的です。いまの日本の中小製造業の有り様ならば、事業は後継しないほうが良いとさえ思います。自分も非常に思慮不足で苦労しましたが、親が事業をしているからといってそれを後継しようなどとは子供は考えるべきではないと思いますし、親も事業の後継を息子(あるいは親族)を、と考えるのはあまりに安易だと思います。もっともこれは一般論では、割り切れない個々の事情を無視しては語れ無いことだと思いますが、それでも基本的には事業の親族の後継には大いに異論があります。

 

 これも、協力工場の例ですが、息子が家業を継ぐことになったから、設備投資をして機械を導入し、息子の仕事を作ってやろうという社長さんがいました。これを聞いて少しがっかりしました。そんなことをしてもまったく意味がないというか、むしろ息子のためには成らないというのは明白です。規模はどうあれ、製造業を後継するというのはそんなに簡単ではないし、現実にははるかに厳しいものです。まず「モノ作り」に対する思いいれ、というかコンセプトが親とはまったく違うと思いますし、それは自分の力で時間をかけて見出してゆくべきものだと思うからです。それを息子が望むのであれば、反対はしませんが、安易に親のレールに乗ろうとするのであれば、間違った選択となるでしょう。それでもまだこの場合は、後継者が得られたということで「良かった」と言われる事例の一つなのですね。そしてこのような事例は、私の周囲にも結構ありふれています。単に、加工を請け負う業態の場合は、私はきわめて否定的です。

 

 

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Posted by 有海啓介 | この記事のURL |