モノ作りの明日(3)

March
20
2009

 最近非常に疑問に感じていることの一つに中小企業の金融支援があります。昨年末、そして今期末においても中小企業に対する融資が緊急経済対策の一つとして行われています。これは、政府系の信用保証協会が保証枠を多く設定して、融資枠を拡大してゆこうというものであり、現実にこの危機的な状況であっても中小企業の倒産が激増しないのは、この効果であるといえます。しかし、冷静になって考えてみれば、経済がマイナス成長をするような非常に危機的な状況で、融資を受けてはたして中小企業にとってプラスになるのか、というとこれは非常に厳しいのではないかと思う点です。今日、ある経営者の方とお話をしましたが、少ないとはいえ金利を払うわけで、これは相当に景気が上向いてこないと不可能だろう、という話になりました。その社長さんは、苦しくとも今回の融資は、既存融資の借り換えのために使うのが正解だといって、そう実行したそうです。金利の高い既存融資を借りかえることが出来れば、非常に条件は有利になるということでした。しかし、借入金の返済そのものが、経済成長しないのなら厳しいともおっしゃっていました。特に輸出がこのままでは、いくら融資を受けたところで、将来の自社のクビを締めるだけだ・・・。当然のことと思います。

 

 この社長さんの会社は非常に内容の安定した会社です。しかし、現実に受注は半減したとのこと。その結果、人員削減や減給を行ったとのことです。流石に素早い判断ですが、現実には非常に厳しい中小製造業がこの地域にはひしめき合っていますから、その苦しさは本当によく理解できます。「後継者がいないから、借金をゼロにして終わりたいけど、無理だなぁ・・・」そんな言葉が印象的でした。

 

 

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Posted by 有海啓介 | この記事のURL |