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遺体はあらゆる感染症の感染源

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 「遺体から感染するのは新型インフルエンザだけではない。遺体はあらゆる感染症の感染源になり得る」―。こう警鐘を鳴らすのは、防護具専門商社モレーンコーポレーション(東京都杉並区)の多湖淳副社長だ。同社では、昨年11月から英国製の非透過性納体袋を取り扱っているが、厚生労働省の「埋火葬の円滑な実施に関するガイドライン」に非透過性納体袋という言葉が登場し、新型インフルのリスクが報道されるようになってから、問い合わせが増えているという。非透過性納体袋とは一体どんな物なのか―。多湖副社長に聞いた。

※【おくりびと、新型インフル遺体に要注意】もご覧ください。

―国内でも、行政関係者や葬儀関係者の間で非透過性納体袋への関心が高まっているようですね。

 遺体からはさまざまな体液が出てきますが、その体液からあらゆる感染症に感染するリスクがあります。まだ発見されていない病気もあるかもしれない。非透過性納体袋とは、それらの感染リスクを防ぐための防護具です。特に、新型インフル専用というわけではありません。
 「感染源隔離」の考え方が浸透している欧米では、病院で患者が亡くなった場合、既往症の種類などにかかわらず、遺体を非透過性納体袋に入れるのが常識となっています。新型インフルのリスクが報道される以前から、何種類もの非透過性納体袋が流通し、ごく普通に使用されています。「9.11同時多発テロ」の時も、何千もの納体袋が使用されました。
 話題になった映画「おくりびと」では、納棺師や遺族が無防備に遺体に触るシーンが何度も出てきましたが、欧米の医療関係者の中には、違和感を覚えた人もいるかもしれません。何の病気に感染しているか分からないのに、遺体を触ることは、非常に危険だとされています。

―御社では、いつから取り扱うようになったのですか。商品の特徴などについても教えてください。

 10年以上前からその存在は知っていたのですが、扱うようになったのは昨年11月からです。当社では、英国製のPEVA素材(無塩素プラスチック素材)の商品を3タイプ扱っています。左右にハンドル(取っ手)が付いており、2−6人で運べるようになっています。水分が漏れないのはもちろん、においも漏れにくい構造になっています。価格帯は1万−2万円。
 子ども用、横幅が広いタイプ、厚みのあるタイプ、一部がビニール製になっていて遺体の顔が見えるタイプなど、さまざまなタイプが流通しているので、ニーズに応じて取り扱う製品も検討していきたいと考えています。
 多くの袋は収納後、遺体の顔が見えなくなってしまいますが、国内では「顔が見えるタイプのものが受け入れられやすいのではないか」という声が多いですね。

■「納体袋さえ使えば安全」ではない!

―使用上の注意点などがありましたら、教えてください。

 「納体袋さえ使えば、絶対に安全」というわけではありません。納体袋は感染源隔離手法の一つでしかない。素手で遺体を触ってしまったら、納体袋を使う意味がありません。納体袋は遺体を運びやすくするための袋ではなく、あらゆる感染症の感染リスクを防ぐための防護具。取扱説明書をしっかり読んで、手袋を併用するなどして適切な使用を心掛けていただきたいと思います。
 また、繰り返しになりますが、納体袋は新型インフル専用というわけではありません。厚労省のガイドラインに登場してから注目度が高まっていますが、欧米の医療機関では、すべての遺体に対して使用すべきものだと考えられています。

■将来、日本でも納体袋は当たり前に?

―近い将来、日本でも納体袋を使うのが当たり前になるのでしょうか。

 映画「おくりびと」では、納棺師や遺族が、素手で遺体に触るシーンが何度も登場しました。今の日本では、遺族が遺体にすがりついて泣いている時に、隣で葬儀業者や医療関係者が事務的に手袋やマスクを着用してから触る、という行為は受け入れられにくいでしょう。
 しかし、5−10年後は、国内でも感染源隔離の考え方が浸透し、遺体の取り扱い方や納棺師の仕事ぶりが、今とは全く異なるものになっている可能性もあると思います。
 「おくりびと」の大ヒットによって、「旅立ちのお手伝い」をする納棺師という職業への関心が高まっています。今後、納棺師を志す人も増えてくるでしょう。それだけに、「遺体はあらゆる感染症の感染源になる」ことをみんなが知って、意識する必要があると思います。


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更新:2009/04/01 14:56   キャリアブレイン

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