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きょうの社説 2009年4月1日
◎景気対策の財源 赤字国債の発行を恐れずに
麻生太郎首相が補正予算案を含む追加経済対策の策定に際し、「赤字国債の発行も辞さ
ない」と述べた。十兆円を超える規模の大型補正を組むなら、建設国債や「埋蔵金」と呼ばれる財政投融資特別会計の準備金と予備費だけでは足りず、赤字国債の発行は不可避だろう。財政再建論者は、財政危機をことさら不安視し、国債残高の増加を忌み嫌うが、今は百 年に一度といわれるほどの非常時である。赤字国債の発行を恐れず、景気の回復を最優先してほしい。 映画「七人の侍」のなかに、「首を切られるかもしれないときに髭(ひげ)の心配をし てどうする」というせりふがある。先ごろ、北國新聞政経懇話会で講演した早大大学院ファイナンス研究科教授の野口悠紀雄氏は雑誌への寄稿で、このせりふを引き合いに出して、十兆円を超える規模の国債増発の必要性を指摘した。本当に危険なのは、財政の悪化ではなく、経済そのものの悪化なのである。外需の急激な落ち込みを補い、産業構造を内需型に切り替えていくには、まとまった額の財政支出で有効需要をつくり出していくほかない。 国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を二〇一一年度に黒字化する目標 は、景気の回復なくしては達成しない。財政再建はあくまで手段であり、目先の黒字化にはこだわらず、達成年度を先送りすればよい。 赤字国債増発の最大の問題点は、インフレを招くことだが、輸出の減少に伴う生産設備 の供給過剰を補う範囲内にとどまる限り、問題が生じるとは思えない。万一、インフレになれば国債の実質残高の減につながり、財政赤字の問題はむしろ解消に向かうだろう。 国債の発行は、国内で消化されている限り、家計での夫婦間での貸し借りに似て問題は ないとの指摘もある。現に国債を買う資金が国内にふんだんにあるからこそ、国債金利は低利のまま推移している。国の借金を大げさに不安がる必要はあるまい。 もし、国債の市場消化に不安があるようなら、現在は財政法で禁じられている日銀引き 受けの国債発行を検討してはどうか。
◎スマートIC 安宅に続く適地も探れ
高速道路の大幅割引の恩恵を受けるため、ノンストップ料金収受システム(ETC)車
載器の普及率が高まっていることは、ETC専用のスマートインターチェンジ(IC)の新設を目指すうえで大きな追い風である。石川、富山県内では、北陸自動車道の安宅(小松市)と流杉(富山市)のスマートICが、社会実験を経て一日から本格運用されるが、これらに続く適地も積極的に探り、高速道路の有効活用につなげたい。北陸地方整備局によると、国内の高速道路のIC間隔は約十キロとなっており、欧米の それが約五キロであるのに比べるとまだまだ長い。従来型ICより建設費も維持管理費も安上がりとされるスマートICは、日本の高速道路を「世界標準」に近づけるための切り札になり得る。 石川、富山県内では、これまでにも北陸道の徳光(白山市)、尼御前(加賀市)、入善 (入善町)と東海北陸自動車道の城端(南砺市)でスマートICの社会実験が行われ、徳光と入善は本格運用に至っている。一方、尼御前と城端は利用状況が思わしくなく、実験後に休止に追い込まれた。当時はETC車載器がそれほど普及していなかったことも、利用者が思ったほどに伸びなかった一因になったと考えられる。 今回の高速道路の割引とそれに伴うETC車載器の購入助成の実施で、スマートICの 新設に向けての「ハードル」は相当に下がるのではないか。尼御前や城端も、社会実験は失敗に終わったとはいえ、「スマートICを観光振興の起爆剤に」という狙い自体は悪くなく、時期尚早だっただけと言えなくもない。県や市町は状況の変化を考慮し、あらためて候補地探しに取り組んでほしい。 設置場所についても、柔軟に考えてもらいたい。他県では一般道と高速道路が交差する 地点に進入路を整備してスマートICを設置している例があり、バス停留所なども活用できる可能性があるという。安宅や流杉などのようにサービスエリアやパーキングエリアばかりにこだわる必要はない。
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