2009年4月1日 2時30分
親の国民健康保険(国保)の保険料滞納で「無保険」に陥った義務教育以下の子を救済する改正国保法が、1日施行される。今後は、高校生を含む中学卒業後から18歳までの救済が課題となるが、この無保険の高校生世代の人数が、少なくとも全国330自治体で4367人に上ることが、毎日新聞の全国調査でわかった。無保険で医療費の全額負担が必要となったため受診を見送り、病気が重症化する高校生が出ることなどへの懸念から、14%の自治体が独自救済に乗り出したことも判明した。
全国調査は、1792の全自治体(国保関連の広域連合を含む)を対象に実施し、1103市区町村から回答を得た(回答率61.6%)。
高校生世代の無保険の子が最多だったのは札幌市の480人。市は昨年12月、18歳未満へ保険証を交付し、独自に救済した。「世帯の状況に関係なく子どもの医療を保障するのが目的。納付率低下には結びついていない」という。一方、2番目に多かった228人の福岡市は「今のところ、(義務教育を超えて)年齢を引き上げる予定はない」。
高校生世代への独自救済策が「ある」と回答した自治体は155で回答中14%だった。大分県日田市は「子どもは病気に抵抗力が弱く、病気による集団感染の可能性もある」と通常より短期の保険証を交付。千葉県市川市は「子育て支援の観点から」とした。児童福祉法の対象年齢が「18歳未満」であることを、独自策の根拠とする所も多かった。
改正国保法に基づく義務教育以下の救済時期では、3月までに先行実施済みが319自治体(29%)で、4月から実施が614自治体(56%)。5月以後にずれ込むのが9自治体(1%)あった。交付方法は、郵送が全体の半数を占めた。
3月までの義務教育以下の無保険の子の人数は、回答のあった1103自治体で2万3747人だった。同じ自治体で、昨年9月の厚生労働省調査(全国で計3万3000人超)時点の人数と比べると、14%減だった。改正国保法施行を前に、各自治体が親に保険料納付の働きかけを強化し、国保料滞納も改善に進んだとみられる。【竹島一登、青木絵美】
◆高校生世代・無保険の子の地域別人数
北海道 624人
東北 456人
関東 857人
北信越 246人
中部 323人
近畿 398人
中国 267人
四国 254人
九州 942人
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合計 4367人
(毎日新聞調べ)