Home |管理人| にっきSS置き場 | 頂き物 | ちゃっと | げすとぶっく

 

うたたね

 

 

「フェイトちゃん、おまたせー・・・・・・って、あれ?」

 日もだいぶ傾き、赤みのある日の光が差し込むなのはの部屋。

 いつものように放課後、なのはの家に寄っていたフェイトは、お茶を汲みに行っていたなのはを待つうち、ベッドに寄りかかりながらうつらうつらとうたた寝に入っていた。

 音を立てないようにそっとお茶を置いたなのはは、ゆっくりと傾き始めたフェイトの身体を支えるように、静かに隣に座る。

 ほぼ同時に、ぽすっとなのはにもたれかかるフェイト。

「最近、お疲れ様だもんね、フェイトちゃん」

 執務官と言う目標に向かい、日々様々な課題をこなしているフェイトは、時にこんな風に無理が出てしまうときがある。

 それでも消して弱音を吐かず、できうる限り――いや、かなり無理をしてでもそれを乗り越えていく姿勢は、フェイトの良い部分であり、同時に悪い部分でもある。

 でも、きっとそれを言えばフェイトはきっと、もっとがんばってしまう。だから、直接何かを手伝うことはあんまりできないけれど、疲れたときにはそっと支えてあげたい。

 フェイトの顔にかかる髪をそっとよけてあげながらそんなことを思い、なのははやさしく微笑む。

 その笑顔は、きっとフェイトが知ったら、見られなかったことを本気で悔しがってしまうような優しい顔。

 そのまま、なのははやさしくフェイトの髪をなでていく。

 すっかり安心しきった顔で眠る、友達よりもずっと、もっと大切な人。自分のすべてをかけて、守りたい人。

「ん、なのは・・・・・・?」

 ふと、フェイトの意識が戻る。

「あ、ごめんねフェイトちゃん。起こしちゃった?」

 なのははちょっと申し訳なさそうに笑って、フェイトの顔を覗き込んだ。

 そんななのはに、フェイトはまだぼーっとした目で辺りを軽く見回す。

「え・・・・・・あ、えと、もしかして私、寝てた?」

「ほんのちょっとだけどね」

 そう言ってなのはがそっと笑いかける。と、フェイトは自分がすっかりなのはに身体を預けていることに気づく。

「わっ、ごめん、なのは。重かったでしょ?」

 あわててフェイトは身体を引こうとするが、なぜか逆に引き寄せられてしまう。

「な、なのはっ?」

 いつの間にかフェイトの身体に腕を回していたなのはが、やさしく、それでいてしっかりとフェイトを抱き寄せていた。

「フェイトちゃん、全然重くなかったよ。それに、こうしてたらあったかくない?」

 すっと頬を寄せ、フェイトに軽くほお擦りする。

「ん・・・・・・あったかい」

 フェイトは赤い顔で再びゆっくりとなのはに身体を預ける。

「でも、せっかくお邪魔してるのに寝ちゃったらダメだよね」

「あはは、ダメなことないよ。なのははフェイトちゃんがいてくれればそれだけで嬉しいし・・・・・・」

 そこでいったん言葉を区切り、小さな声で続きをささやく。

「フェイトちゃんの寝顔、かわいかったよ?」

 言われた瞬間、フェイトの顔が耳まで真っ赤になる。

「な、なのはっ、そんな事言ったら恥ずかしいよ」

「ごめんごめん、フェイトちゃん。でも、ホントのことだよ?」

 優しい顔のまま、フェイトを見つめてはっきりと言い切るなのはに、フェイトはたまらなくなって、隠れるようになのはの肩に顔をうずめた。

「なのはは、時々ずるいよね」

 すっかり照れてしまったのか、肩に顔をぴったりつけたまま抗議する。

「ずるい、のかなぁ?」

 んー、となのははしばらく考えるような仕草をし、ポン、とひらめいたように手を打った。

「じゃあ、こうしよう」

 ひょい、となのはがいきなりフェイトを抱き上げる。

「なのは?!」

 うろたえるフェイトをよそに、ニコニコしながらベッドへフェイトをおろす。そして、覆いかぶさるような形でなのはもベッドに上がる。

「一緒にお昼寝すれば、ずるくないでしょ?」

 耳元にささやくようになのはは言い、フェイトの隣に寄り添うように横になる。

 すぐ目の前には、フェイトの困ったような顔。

「寝ちゃったらなんかもったいない気がするよ」

「どうして?」

 首をかしげるなのは。

「だって・・・・・・せっかくなのはが隣にいるのに」

 毛布を鼻まで上げて、ほんの少し上目遣いで恥ずかしそうに言う。

 そんな様子に、なのははフェイトの手をやさしくとって微笑む。

「なら、おんなじ夢をみよう?そしたら夢でも一緒だから」

「もう、なのはったら」

 目を合わせて、二人同時に笑い出す。

 

 暖かな毛布の中。そのまま二人、取り留めのないことを話しながら笑いあう。

 しばらくして、ふいに静かになった部屋の中に二つの小さな寝息が響き始めるのであった。

 

 

 

 

 

 


あとがき

どうも、最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

なんか締めが悪い気がしますが、とりあえず練習も兼ねてということでUPです。

過去にも何本か他の作品でSS書いていたんですが、お恥ずかしいことにあんまり上達してないと言うか。

それでも少しでも楽しんでいただければ幸いです。

メインとしては同人活動のほうで二次創作していく予定ですが、ボツネタとか、いまいち煮詰めきれなかった感じの消化不良SSをここでサルベージしていこうかと思います。

今回は冬コミで出しました「こたつでみかん」に入る予定だったのに、時間の都合でなかったことになったSSでございます。

昔同じタイトルでなんか書いた気がするんですが・・・・・・ま、いっか。

 

自分は元々ノーマルカップリング専門だったのですが、全方位型SS書きを目指すべく『なの×フェイ』を書き始めて、百合モノが意外に書いてて面白いことに気づいてしまいました。

しばらくこのカップリングでやってみようかなーと思います。

この二人、ちょっと気を抜くとすぐ、行くとこまで行ってしまいそうになるのがちょっと恐ろしいですけどね。

今のところ濡れ場は書かない姿勢で臨んでますので、期待してた方、ゴメンナサイ。

 

とりあえず目標としては月に一本くらいUPできればいいな、と思ってます。

つたない文章で読みづらい部分もあるかとは思いますが、精進していきますのでお付き合いいただけると嬉しいです。

ではでは、次回作にてお会いしましょう。

 

1月17日 ぴーちゃん