政府は3月31日、医療機関の診療報酬請求を11年4月から全面オンライン化する方針について、「地域医療の崩壊を招かないよう配慮」したうえで実施することを決めた。自民党に配慮し、事実上11年度からの義務化を先送りするもの。政府は高齢やへき地の開業医らの義務化期限を延長する意向。ただ、オンライン化は事務経費削減を意図した医療費抑制策の一環で、「改革が後退」との批判を受けるのは必至だ。
オンライン請求は、開業医の場合で3.2%しか普及していない。紙での請求と違い不正を見つけやすいため、政府は06年4月、08年度から段階的に義務化し、11年度から全医療機関に広げる方針を決めていた。
その際、治療件数の少ない開業医らには、さらに2年の猶予を設けたが、日本医師会は強く反発。今年1月には35都府県の医師が義務化撤回を求め提訴する騒ぎも起きた。このため自民党は31日、義務化先送りを決めた。【吉田啓志】
毎日新聞 2009年4月1日 0時00分