2009年4月1日0時10分
熊本県城南町の清酒メーカー「美少年酒造」の緒方直明社長は31日、事故米偽装事件で不正競争防止法違反(虚偽表示)罪で起訴された米販売会社「三笠フーズ」(大阪市)の関連会社「辰之巳」から、実際は一部を等級の低い米を納入させたのに高級米を納入させたことにして、浮いた分の差額を裏金に回していたと明らかにした。会見を開き、謝罪した。
緒方社長によると、美少年酒造が農協から一等米を仕入れて辰之巳に精米を委託しながら、実際は三等米とみられる米を納入させ、浮いた差額は三笠フーズ社長の冬木三男被告=不正競争防止法違反罪で起訴=が年に一度、緒方社長にまとめて渡していた。緒方社長が社長に就任した87年にはすでにやっており、07年は140万円だったが200万円を超える年もあった。裏金は、自社の酒を飲食店に置いてもらおうと資金を貸したまま、回収できなくなった不良債権の処理などに使ったという。
美少年酒造は、三笠フーズ側が転売した事故米の納入先の一つ。辰之巳がベトナム産米を「国産100%」と偽る証明書を美少年酒造に渡したことなどから、農林水産省は不正競争防止法違反容疑で三笠フーズ側を告発している。
緒方社長は「今回の問題と事故米問題は別。等級の低い国産米で返ってくると思っていた。まさか事故米が入るとは思わなかった」と強調。「経営が厳しく、不良債権の処理が進まないので誘惑に負けた。応援してもらった方々への大きな裏切り行為で、申し訳ない。私の身柄も含め、責任を明らかにしたい」と謝罪した。