京都市の医療法人に保全命令―医師不足などで収益悪化
京都市内で病院を経営していた医療法人竜王会(京都市山科区、小澤利夫理事長)は3月27日に京都地裁へ民事再生法の適用を申請、同日保全命令を受けた。帝国データなどによると、負債総額は約16億円。竜王会は弁護士を通じて、資金繰りに行き詰まった理由について、▽医師と看護師不足▽医療行政の中小病院に対する締め付け▽諸費用の高騰化―などと説明。その上で、「民事再生手続きにより、病院再建を目指すことが最善の策と判断した。医療活動を継続するために、引き受け先、支援先を見つけて、病院の再生を目指す」とコメントしている。
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帝国データなどによると、竜王会は1964年4月に「小沢医院」として個人創業。70年4月に法人設立し、「小澤病院」(一般100床、療養49床)を経営していた。内科、循環器科、消化器科、放射線科をはじめ計13科目を手掛け、89年には10億円の資金を投入して新館を開設するなど積極的な設備投資を行っていた。特に、人工透析センターは97年に増床し、透析ベッド26床を運用していた。2003年3月期は年収入高約16億5900万円を計上していた。
しかし、06年以降は外来、入院患者数が減少傾向にあり、08年3月期は訪問介護、在宅介護支援センターの廃止による来院者数の減少などで、年収入高約14億9600万円にとどまった。医療材料や消耗品などの仕入れ価格の上昇、介護人員の増加による経費の増加に加え、過年度損益修正額の計上で当期損益は約2億1300万円の赤字となり、債務超過に陥っていた。
06年2月には社有不動産を売却するなどして、債務の弁済を進めてきたものの、過大な金融債務を抱え、多忙な資金繰りを余儀なくされる中、その後も減益が続き、自主再建を断念したという。
関係者によると、「病院の運営は同じ状態で続けるので、93人の入院患者、透析に通う通院患者や病院で働く180人の職員などに影響が出ることはない」という。
竜王会は弁護士を通じて、「裁判所に選任された監視委員の指導・監督の下、再建に全力を尽くす」とコメントしている。
更新:2009/03/31 20:35 キャリアブレイン
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