県立病院を一括して地方独立行政法人化するという県医療審議会県立病院のあり方検討部会の答申を受け、県立病院の経営形態の基本方針について本年度中に結論を出したいとしていた仲井真弘多知事は、県議会や病院現場などの状況を踏まえ、本年度中の方針決定を見送ることが30日、複数の県幹部の話で分かった。県が本年度中に総務省に提出する公立病院改革プランは、経営形態については「調整中」となる。
知事の方針決定については、早ければ4月中旬という意見もあるが、1年程度の議論や調整が必要との意見もあり流動的で、異例の事態となっている。
県首脳によると、答申を尊重するという知事の基本姿勢は変わらない一方で、県議会で拙速な判断を行わないよう求める決議が全会一致で可決されたことや、病院現場や離島などで独法化への不安が根強いことから、知事は25日段階では「本年度中」としていた判断を先送りした。
仲井真知事は県議会2月定例会で「答申を踏まえて独法化への準備を進めながらも、全適(地方公営企業法の全部適用)下での健全化計画も1年ごとにチェックしていき、独法化しなくてもやっていけるというのが分かれば、『嫌だ』というのを無理にはしない」と答弁している。
県立病院の経営形態をめぐっては、あり方検討部会が2012年度をめどに独法化を答申する一方、県立病院を運営する県病院事業局が現在の経営形態(地方公営企業法の全部適用)で黒字化する再建計画を策定し、国や県からの財政支援が決まっている。(玉城江梨子)
(琉球新報)
2009年3月31日