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昨日の問には、読者のみなさまからのたくさんのお返事をいただきありがとうございました。
オマケの問として出題した「本試験で、この手の問題が出たときに、一番大事な心得はなにか。」という点についても数多くのご意見が寄せられ、みな、納得のいく立派な解答ばかりでした。 すべて正解です。 その中で、ぼくが用意していた答えに、ほぼ、ズバリ賞の解答がありましたのでご紹介します。 虚心坦懐 okusama-yさん 知識もないのに対処法も何もあるか!って、感じの初学者ですが(^^;、 講座を受けはじめて3ヶ月の身で今年の本試験を受けまして(我がクラスでは下見受験が推奨されていました)、この問題、正解したのを覚えています。 そのときの私の心境としては、「学説なんか知らんわ。でも読めば分かるんちゃう?」で、何説がどうのというところはカットして、車を盗まれた人と勝手に駐車された人の話と単純化して読みました。 しかしあれから少し学習の進んだ今あらためて問題を見ると、「第2説のはナニ説だ?」と聞かれてもいないことにアタマを使ってしまう自分がいます。 そんなことから、こういう問題に臨む心得として大事なのは、難しい理屈はこねずに常識と日本語の問題として読む! ずばり「虚心坦懐」が大事かな〜・・・、と考えてみました! 以上が、okusama-yさんのご意見です。 どこがズバリ賞であるかというと、「学説なんか知らんわ。でも読めば分かるんちゃう?」という部分です。 この「読めば分かるんちゃう?」という部分がすばらしいのです。 つまり、学説問題に対しては、これを見た瞬間に「一点もらった」というくらいの自信と気楽さが必要です。 これは、ひとつの集中力なのです。 人間には「苦手だ」という意識をもった瞬間に、心身が萎縮するという性質があります。 学説問題は、okusama-yさんのように学習期間が3ヶ月で何も知らない状態でも解答ができます。 それは、解答が問題文の中に書いてあるからです。 つまり、物権的請求権に関する3つの学説を説明しろと出題されたら、知識のない限りは答えようがありませんが、学説問題は、親切にも「こういう学説があります」と3つを丁寧に並べてくれています。 あとは、事例にあてはめるだけですから、初心者でも国語力だけがあれば解答可能なのです。 この場合に、学説問題について「読めば分かるんちゃう?」という地点からスタートする受験生と「学説問題は苦手だなあ」という地点からスタートする受験生では、最初から勝負アリなのです。 なぜなら、前者には自然に集中力が発生するからです。 ちなみに、ぼくは受験時代に学説問題は大好きでした。 この手の問題は、出題者が解答を隠そうとしても必ず尻尾がでています。 いわゆるアタマ隠して尻隠さずというヤツでありまして、いくらでも推理の方法が考えられます。
以下の問題は、平成18年度の、司法書士試験の午前の部の第9問です。
明日より、この問題を題材に、学説問題の対処法を考えてみましょう。 今日は、各自で考えてみてください。 問 次の第1説から第3説までは,物権的請求権の内容に関する見解である。A所有の甲土地にB所有の乙自動車が駐車されていたという事例に関する次のアからオまでの記述のうち,誤っているものの組合せは,後記1から5までのうちどれか。 第1説 物権的請求権は,相手方に一定の行為を請求する権利である。 第2説 物権的請求権は,原則として相手方に一定の行為を請求する権利であるが,相手方の行為によらないで目的物が相手方の支配下に入った場合には,例外的に自らがする回復行為についての相手方の忍容を請求する権利となる。 第3説 物権的請求権は,自らがする回復行為についての相手方の忍容を請求する権利である。 ア Cが乙自動車を盗んで甲土地に駐車した場合において,Aが甲土地の所有権に基づく物権的請求権を行使するときは,第1説でも第2説でも,Bに対してBの行為を請求することができる。 イ Cが乙自動車を盗んで甲土地に駐車した場合において,Bが乙自動車の所有権に基づく物権的請求権を行使するときは,第2説でも第3説でも,Aに対してBの行為の忍容を請求することができるにとどまる。 ウ Cが乙自動車を盗んで甲土地に駐車した場合には,第3説では,Bは,Cに対して,自動車の回収に要する費用について,不法行為に基づく損害賠償請求をすることはできない。 エ Aが乙自動車を盗んで甲土地に駐車した場合において,Bが乙自動車の所有権に基づく物権的請求権を行使するときは,第2説でも第3説でも,Aに対してBの行為の忍容を請求することができるにとどまる。 オ Bが乙自動車を甲土地に駐車した場合において,Aか甲土地の所有権に基づく物権的請求権を行使するときは,第1説でも第2説でも,Bに対してBの行為を請求することができる。 1 アウ 2 アオ 3 イエ 4 イオ 5 ウ工 オマケの問 本試験で、この手の問題が出たときに、一番大事な心得はなにか。
昨日は、「勝つことが当たり前」という気迫の話しをしました。
試験会場で勝負にのぞむ場合、弱気は禁物です。 裏口から試験会場に入るなどはとんでもないこと。 正面玄関を堂々と闊歩しなければなりません。 サングラスがあれば大丈夫。 ところで、試験中の形勢判断は「当然勝つ」というのではダメです。 「やや苦しいかもしれない」というくらいが、ちょうどよいのです。 と、いうのは、試験には必ず落とし穴があります。 試験時間中は、いわば、白刃の中をかいくぐるようなものです。 ここで、かすり傷は許されますが、致命傷を負ってはいけません。 「やや苦しいかもしれない」という形勢判断は、各種の落とし穴の存在に、そのつど気付いているからこそ、自然に生じる用心の気持ちなのです。 問題文がよく読めている証拠なのです。 「やや苦しい」けど「最終的に勝つ」という強い気持ちが大事です。
毎年、試験会場では、各受験予備校が受験者にパンフレットを配布します。
試験前に、あれを受け取ってはいけません。 なぜなら、あの営業活動は、みなさんが、その年の試験に失敗することを見込んで「来年もよろしく」という意味だからです。 各受験予備校は、「そんなことはありません。解答速報のご案内です。」と言うかもしれませんが、それはウソです。 かりに、解答速報の案内だけが目的であれば、本来、朝は静かに受験者を送り出し、試験終了後に案内をすればよいのです。 だから、みなさんは、試験前には、決してパンフレットを貰ってはいけません。 この場合、最高の策は、サングラスをかけます。 そして、パンフを手渡そうとする輩を、サングラスの奥から睨みつけましょう。 そのパンフは、みさなんには不要なものです。 試験は勝負事ですから、負けを前提にした行為は厳につつしむべきです。 なぜなら、勝負事は「勝つことが当たり前」と思ったときに最も集中力が高まるからです。 ある棋士が、「負けてもともとと」いう考え方はウソだ、と言っています。 将棋指しは、勝つために最大の努力をしているのだから「勝ってもともと」であるというのです。
試験会場で、隣の受験生の出す物音が気になるという方が多いようです。
ペンの音、セキ、鼻等です。 こういうのは、気になりだすとキリがありません。 この場合の一番の対処法は、自分が音を出すことなのです。 普段から、自分のペンの音に集中する稽古をしていれば何でもないです。 また、ペンを動かしていないとき、つまり考慮中には、鉛筆を弾いて音を出します。 そして、自分の音でリズムを取ってください。 こういう悩みを持つ人は、「人に迷惑をかけてはいけない」という気持ちの強い人に多いのです。 これではいけません。 試験会場では、「人に迷惑をかけよう」という態度に徹してください。(笑) みなさんが、いくら、人に迷惑をかけないようにしようとしても、隣の人がみなさんの鉛筆の音を気にする人であれば、すでに迷惑はかけています。 みなさんが、ちょっとセキをすれば、それも迷惑です。 だから、迷惑をかけないことは不可能です。 つまり、試験会場とは、お互いに迷惑の掛け合いであり、その中で、集中した者が勝ちという勝負の世界です。 「音」は思考のリズムを左右する重大な問題です。 他人の出す音で集中はできません。 自分が音を出して、リズムを作り出しましょう。
「音」というのも集中の大事な要素です。
このブログでは、過去に、知識をヨコにつなげるためのテキストへの「書き込み」の重要性を指摘したことがあります。 実は、書き込み作業は、集中を維持する方法にもなっています。 もちろん、テレテレ書き込みをしていては、何の意味もありませんから、いつも言うように精一杯丁寧な文字を書くことが必要ですが、さらに、この場合に、文字を書く際の「ペンの音」を聞くことが集中法になります。 シャカシャカとペンと紙の発するその音です。 聞くといっても一生懸命に聞くわけではなく、自然に耳にするのです。 そうすると、ひじょうに心地よいのですね。 書き込み作業自体がリズムを産むのです。 リズムと言うのは、思考の素なのです。 また、早朝の学習は、「音」による集中法の手段としても理想的です。 世間が静かであるため、音が聞こえやすいのです。 朝、小鳥のさえずりに耳を澄ませば、「集中」の意味がわかります。
集中のカタチに入るためには、大事な前提があります。
それは、呼吸法です。 集中というのは軽い緊張状態です。 学習対象に心を向けるためには、呼吸を薄くしなければなりません。 少し酸欠かなと思うくらいの細い息で、しかも長く呼吸します。 そして、教材との距離は近すぎず、遠すぎず、中庸の距離をとります。 近すぎてはいけない理由は、体と教材の間に間合いをとって呼吸を助けるためです。 遠すぎてはいけない理由は、教材の中に自らの魂を込めるためです。
「静的な作業についての集中のカタチ」と昨日書いたカタチというのは、相撲の仕切りのように、目に見えるカタチという意味でかきました。
藤山さんの「早朝の勉強」は、とても大事な心得ですがカタチではありません。 バズさんの「お昼の時間も忘れるほど」という点も集中しているかどうかの尺度として非常に重要な要素ですが、これは集中の結果でありカタチではありません。 Kangarooさんの「禅」「ヨガ」はカタチですが、ぼくの考えによれば座禅を組んで集中力を身につけるには3年はかかりそうな気がします。 しかも、禅は自分だけ悟ったような気分になりやすく師匠がいないと難しいです。 で、答えですが、「将棋の対局」です。 このブログを読んでいる人は、ぼくが将棋ファンであることを知っていると思ったので、ピンとくる人がいるかもしれないと、きのうは考えたのです。 「将棋の対局」といっても、毎週日曜日にやっているNHKの将棋対局では、対局者の姿が映っている時間がみじかすぎて「集中のカタチ」を得心することはむつかしいと思います。 ですから、「名人戦」「竜王戦」の対局を見てみましょう。 これらは、年1回開催されますが、BSで対局風景をかなり長時間写してくれます。 そこで、羽生善治、森内俊之、佐藤康光といったあたりのトッププロが集中して考えている姿をみましょう。 これを観戦すると、カンのいい人であれば、集中とはリズムであることがわかります。 名人級の対局者は、思考にリズムがあるのです。 そして、このリズムが、集中を産むのです。 センスをパチパチ鳴らす。ふっとアタマを掻いておもむろに相手を睨む、そして、一瞬の間合いのうちに流れるように駒を取る、こういう動作をよく見てみましょう。 集中するということは、無駄なくスキなくリズムがあることがわかります。 竜王戦観戦ガイド 第一局は、10月10日、11日の二日間行われる。 対局者 渡辺明竜王(若手NO1。前々期森内名人に勝っている) 佐藤康光棋聖(緻密康光と言われている超一流棋士) NHK BS2で放送があると思う。(ただし、第一局はアメリカでやるので放映時間には注意のこと) 面白いのは、2日目の午後から夜間。 (1日目はわりにのんびりしているので対局者が完全な集中状態にあるとは限りません) PS リズムと集中の関係を知ることが「集中のカタチ」の問題の第1歩です。第2歩は明日やりましょう。 竜王戦
学習をする場合に最も大切な心得が「集中力」です。
短期合格を果たすためには必須の力です。 竹下師の表現によれば「嵐のように勉強をする」期間が、合格者には必ず存在するということになります。 「集中力」とは、1つの技術であると思います。 この技術を身につければ、一般の学習者の、10倍の密度で学習作業をすすめることができるようになります。 集中にはカタチが存在します。 たとえば、イチロー選手の打席に入るまでのストレッチから素振りのパターンはいつも一緒ですし、すでに引退しましたが佐々木投手がマウンドに立ってからの投球練習での配球もいつも一緒であったそうです。 また、相撲の「仕切り」というのもひとつのカタチです。 これらは、「集中のための儀式」です。 勉強のような静的な作業についての集中のカタチをイメージすることは、少し難しいかもしれませんが、たとえば、ぼくの場合学習に集中するパターンは、姿勢から教材の置き方、そしてもっとも大切なのは呼吸法ですが、すべて一定の型があります。 逆にいえば、その型に入れば集中できるのです。 明日は、「静的な作業についての集中のカタチ」の実例をあげましょう。 と、ぼくが、これを書いた時点で、それが何かがピンときた人は、かなり鋭いです。
問
貸金返還訴訟において、被告は相殺可能な反対債権が存在するにもかかわらず、相殺の抗弁を提出せず敗訴した。後訴でその反対債権を行使することはできるか。 答 できます。 被告は、相殺の抗弁をするもしないも自由です。 その理由として2つのことがあります。 1、 反対債権は、訴訟物である原告の貸金債権とは全く別の債権です。 したがって、貸金債権自体の存否とは直接の関係がありません。 2、 相殺の抗弁を出すと「負けを認めた」形になりがちなので出しにくいのです。 「返還約束」の否認や「弁済」「消滅時効」の抗弁で勝てれば格好がよいのですが、「相殺」の抗弁を出すと負けの形になります。 「ははあ。被告は貸金の旗色が悪いと見て苦し紛れに相殺といいはじめたのだな」と裁判官に思われてしまいそうなので、心理的に出しにくいのです。 以上の理由から、相殺の抗弁を出さなかったからといっても、後にその債権を行使することは可能です。 │<< 前のページへ │次のページへ >> │一覧 │最新 │ 一番上に戻る │ |