TBSの筆頭株主の楽天は31日、発行済み株式の19%強の保有株のすべてを売却するため、TBSに買い取りを請求したと発表した。2005年10月に楽天が大量のTBS株を取得して経営統合を求めて以来、約3年半にわたる両社の攻防は、楽天側の撤退で決着した。
TBSは4月1日付で認定放送持ち株会社「TBSホールディングス」に移行した。会社法の規定で、1株主の議決権比率が33%以下に制限されるため、楽天がTBSを単独で子会社化することはできなくなり、業務提携もTBSの反発で難しいため、株式を売却することにした。
楽天が株式の買い取り請求権を行使して、売却するのは約3777万株で、09年3月末時点の1株あたり1294円で計算すると、時価は約488億円だ。楽天は08年12月期決算で約650億円の評価損を処理済みのため、新たに大きな損失は発生しないが、TBS株の取得株価は平均約3100円で、売却によって計700億円程度が損失として確定することになる見込みだ。一方、楽天から買い取り請求を受けたTBSは、拒否できないため、銀行からの融資で買い取り資金をまかなう。
高値で売却したい楽天と、安値で買い取りたいTBSとの価格交渉が難航して30日以内に価格が決まらなければ、東京地裁の調停に持ち込まれる見通しだ。
◆株式の買い取り請求権=会社法の規定で、企業の株主が、株主総会で合併や買収などの議案に反対すれば、保有株の買い取りを会社側に請求できる権利のこと。会社側は請求を拒否できない。買い取り価格は株主と会社側の話し合いで決めるが、30日以内に合意できなければ、裁判所に調停を申し立てることができる。
|