きょうのコラム「時鐘」 2009年3月31日

 日差しが暖かさを増し、北陸の花便りにも「咲き始め」が登場した。満開の桜が待ち遠しい

風流に花見と決め込むのもいいが、都合をつけて富山のチンドンコンクールに足を運ぼうと思う。めったに見られなくなった陽気な集団に会える。昨年は約500人ものパレードで華やいだ。カネと太鼓、クラリネットの音色が、遠い昔の思い出をよみがえらせてくれる

奇抜な衣装と厚化粧の集団は、子ども心を十分に引きつけた。軽快な音色に引かれて後をついて歩いたが、芝居の舞台から抜け出てきたような見慣れぬ格好の集団に導かれて、どこか知らない所に連れて行かれるような不安も覚えた

「チンドン」は、比喩(ひゆ)にも使われる。派手な格好や鳴り物で人目を引く人物や振る舞いを、そう呼ぶ。北朝鮮のミサイル「テポドン」も、国際社会から孤立する将軍サマの宣伝マンにほかならない。ただし、笑いのかけらもない。ただただ不気味なだけである

3年前の発射は失敗した、と報じられた。今度もそうなることを念じている。そうしたら、笑いと拍手が起きて「チンドンマン」は花見に興を添える。