大学に通う学生は授業の9割に出席し、専門分野の知識・技術は身につけたが、リーダーシップを取るのは苦手と自己評価していることが、ベネッセ教育研究開発センターの調査で明らかになった。「日本は競争が激しい」と考える学生が8割にのぼり、「努力が報われる社会」と考えているのは4割程度に止まるなど冷めた目で世の中を見ている一面も浮かび上がった。
調査によると、大学の授業にすべて出ていると答えた学生が41%、8割以上に出席すると答えたのは84%にのぼった。しかし、授業の予復習や課題にあてる時間は週に0〜2時間が73%にのぼり、まじめに授業に出席するが、授業以外では学習時間を確保している学生が少ないことも分かった。
対人関係では「いい友達とがいると幸せになれる」と答えたのが92%と、友好な友人関係を重視する傾向が強かった。社会に対しては「日本は競争が激しい」が79%と高い一方、「日本は努力すれば報われる社会」が42%、「いい大学を卒業すると将来、幸せになれる」が41%にとどまり、世の中を冷めた目でみる傾向も伺われた。
就労については「仕事を通じて社会に貢献することは大切」が84%と社会貢献への意識は高いものの、自己認識では「過去の失敗を気にするほう」が73%にのぼり、「何事においても積極的」は38%に止まるなど、内向的で自分を悲観的に見る傾向もみられた。
こうした意識を反映してか、大学での学習成果としては「専門分野の知識・技術を身につけた」としたのが71%、「コンピュータを使って文書・発表資料を作成し表現する」が74%と高かったのに対し、「自ら先頭に立って行動しグループをまとめる」は37%に止まった。
同センターは「競争が激しいことを認識している半面、努力が報われないと考えていることで、競争を傍観し主体的に動くことに対して腰が引けているのではないか。努力への肯定感の低さや、対人関係のリーダーシップの低さが、次代を担う人材育成の課題」と話している。
調査は昨年10月上旬、インターネット調査会社のモニターとなっている18歳から24歳の大学生4070人を対象に行った。
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