平成21年3月31日
IMF加盟国間 外貨供給枠を倍増
新興・途上国を支援 金融サミット議題
四月二日にロンドンで開かれる主要二十カ国・地域(G20)緊急首脳会合(金融サミット)で、国際通貨基金(IMF)加盟国間の外貨供給枠を二倍超に拡充することが議題として浮上したことが三十日、明らかになった。金融危機の影響で外貨調達が困難になった新興・途上国を支援するのが目的。実現すれば、一九八一年以来となる。
IMF加盟国は、外貨が不足した場合、「特別引出権(SDR)」として自国に配分された枠を上限に、外貨に余裕がある他の加盟国から外貨を引き出すことが可能。現在の配分総額は約三・一兆円で、IMFへの出資割合にほぼ比例して百八十五加盟国の多くに割り当てられている。
しかし、アフリカなどに配分された枠を使い切った国があるほか、遅れてIMFに加盟したため枠を保有しない新興・途上国もある。このため、配分額を増やすよう求める声が強まっていた。SDRについて、IMFは九七年九月の総務会で、各国ごとの配分割合を一部見直した上で、総額を倍増させる方針を決定。日本など大半の加盟国は既に受諾しているが、最大の出資国である米国が議会の承認を得られず、まだ発効していない。
これに対し、オバマ政権は今月、提案受諾に向けて国内手続きを再開する方針を表明、九七年に決めたSDRの配分倍増が実現する可能性が出てきた。このため、金融サミットでは米国の早期受諾を促すとともに、さらなる上積みも検討される見込みだ。
特別引出権(SDR) 国際通貨基金(IMF)が外貨不足に陥った加盟国を支援するため、一九六九年に創設した制度。国ごとに配分額を設定し、外貨が足りない国はこの金額を上限に、外貨に余裕がある国から外貨を引き出すことができる。これまでに七○−七二年、七九−八一年に割り当てが行われ、累積配分額は総額二百十四・三億SDR(約三・一兆円)。日本の配分額は八・九億SDR(約千三百億円)で、米英などに次いで世界第五位。
SDRの価値は、外国為替市場での米ドル、ユーロ、円、英ポンドの四通貨の変動に応じて毎日決められ、現在は一j=約○・六六SDR。ドルに代わる基軸通貨として、SDRを採用するよう求める意見もある。
麻生首相 不況脱出へ決意アピール 金融サミットへきょう出発
麻生太郎首相は三十一日、世界的な経済危機の克服策について話し合う主要二十カ国・地域(G20)金融サミット(首脳会合)に出席するため、ロンドンに向け出発する。日本が取り組む追加の経済対策や、新興・途上国に対する支援策について説明、不況脱出に取り組む決意をアピールする。一方、首相はロンドン滞在中、中国の胡錦濤国家主席、韓国の李明博大統領らと二国間会談を行い、北朝鮮の弾道ミサイル問題を取り上げ、「包囲網」形成を急ぐ考えだ。四月三日に帰国する。
首相は三十一日、出発に先立ち、二○○九年度補正予算案の編成を含む追加経済対策の策定を政府・与党に指示する方針。これを踏まえ、金融サミットでも内需拡大の重要性を指摘し、各国に財政出動を促す見通しだ。
また、危機の影響が大きいアジア諸国を支援するための総額二兆円の政府開発援助(ODA)を表明するほか、国際通貨基金(IMF)への最大一千億j拠出について改めて説明し、中国など豊富な外貨準備を持つ国の参加を要請する。