リスクの高い妊娠に対応する地域周産期医療機関に認定されている佐野厚生総合病院(佐野市)が、12月から産科を休止することが分かった。また、国立病院機構栃木病院(宇都宮市)も2月に地域周産期医療機関の認定を県に返上していたことが分かった。07年の分娩(ぶんべん)数は、佐野厚生総合病院は540件、国立栃木病院は135件に上る。いずれも産科医の不足による対応で、地域の産科医療に深刻な影響を及ぼしそうだ。
佐野厚生総合病院は現在3人いる産科医が4月から2人に減る。11月まで予約が入っている分娩には対応するが、それ以降の新規出産は受け入れない。国立栃木病院も医師が減少し、産科は継続するもののハイリスク分娩には対応しない。
県医事厚生課によると、07年の県内医療機関での分娩は1万8335件。最も多いのは済生会宇都宮病院(宇都宮市)で1248件に上る。
比較的高度な医療設備とスタッフを抱え、異常妊娠に対応する地域周産期医療機関に認定されているのは、08年度で県内8病院。両病院の産科休止や認定返上により、認定病院は6病院に減り、宇都宮市内では済生会宇都宮病院、両毛地域では足利赤十字病院(足利市)のみになる。【葛西大博】
毎日新聞 2009年3月31日 地方版