ロンドン(CNN) 中国が拠点とみられるインターネット経由のスパイ情報網「ゴーストネット」に、世界100カ国以上の政府施設などで1300台近いコンピューターが巻き込まれていることが、29日までに分かった。カナダ・トロント大とケンブリッジ大の専門家チームが同日、それぞれ報告書を発表した。
ゴーストネットでは、スパイウェアが電子メールの添付ファイルなどを装って攻撃対象のコンピュータに侵入。コンピューター内にある特定のファイルを検索、自動発信するほか、マイクやカメラを操作してユーザーの言動を監視することも可能になるとされる。
トロント大の報告書によると、スパイウェアの侵入を受けていたのは、インドネシア、イラン、フィリピンの外務省、ラオス首相府、北大西洋条約機構(NATO)、AP通信の英国事務所のコンピュータなど。早い例では07年5月に形跡がみられた。
ケンブリッジ大の報告書によれば、調査のきっかけとなったのは、チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世の事務所での不正侵入疑惑だった。事務所が他国の外交官にダライ・ラマとの面会を提案するメールを送ったところ、その相手が中国政府から面会を拒否するよう警告を受けたという。ただ、スパイ活動に中国政府が関与していることを裏付ける事実は報告されていない。
在ニューヨーク中国総領事館の報道担当者は、米紙ニューヨーク・タイムズの取材に対し、「中国政府はサイバー犯罪に反対し、厳しく禁止している」と強調した。