気象・地震

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成田空港の米貨物機炎上:機体弾み真っ二つ/成田初の死亡事故(その1)

 ◇「見たことない光景」

 強風を受けたジェット機が滑走路で弾んでひっくり返り、炎に包まれた。23日朝、開港31年目の成田国際空港で、航空機事故による初の犠牲者が出た。二つに折れ、真っ黒焦げになった機体が炎の激しさを物語る。「見たこともない光景だった」。事故を目の当たりにした人たちは、言葉を失った。【倉田陶子、中川聡子、柳澤一男】

 事故機は滑走路から100メートルほど離れた芝生上で横転。黒焦げになった機体は中央部で折れ、ジェット燃料とゴムの焼けたようなにおいが立ちこめた。

 「炎と煙が巻き上がり、何が起きたのか分からなかった」。成田空港第1旅客ターミナルビル4階の中華料理店「翠鳳(すいほう)」の中村亮介店長(26)は午前6時55分ごろ、開店準備のため出勤した。目の前のA滑走路から炎が立ち上り、黒い煙に包まれていた。

 すぐに消防車が続々と駆け付け、慌ただしく消火活動を始めた。しばらくすると煙の間から航空機の機体らしきものが見えたという。「これまでに見たことのない光景。あぜんとした」

 1時間近くたって滑走路を見ると、黒く焼け焦げた事故機が目に入った。中村店長は「びっくりを通り越した驚き。こんなに近くで航空機事故が起こるなんて。本当に怖かった」と声を震わせた。

 A滑走路閉鎖に伴い出発のめどが立たなくなった一部の航空会社は搭乗手続きを中止。空港の出発ロビーは、出張するビジネスマンや海外旅行客らでごった返した。

 ◇事故前、突風の注意喚起

 国土交通省航空局によると、成田空港には事故前に計12機の貨物便が着陸。うち1機から、「滑走路への最終進入コース上にウインドシア(突風)が発生している」との連絡があった。このため、管制官は事故機を含めた着陸予定の全航空機に注意喚起したという。

 航空機は通常、毎秒約13~15メートルの横風を受ける際に独自に着陸制限をしている。当時の成田空港は北北西の風毎秒約13メートルを観測。事故機には左前方からの風となり、同局運航課は「着陸を取りやめるほどの影響は少なかったと思われる」と推測している。成田空港にはウインドシアを観測する警報装置も設置されているが、事故当時は警報は出ていなかった。【高橋昌紀】

 ◇中央から後部が激しく機体損傷

 成田市消防本部の萩原武雄警防課長と三里塚消防署の斉藤三千男署長が事故現場で報道陣の取材に応じ、「2人の乗員はシートベルトをしたまま着席した状態で見つかったが、心肺が停止していた。機体は中央から後部にわたっての損傷が特に激しかった」と説明した。【駒木智一】

 ◇欠航など相次ぐ

 フェデックス機の着陸失敗事故の影響で、全日空は成田発香港行き、シカゴ行き、大阪伊丹発成田行きなど9便を欠航。到着便8便は羽田、仙台着などに変更する予定。日本航空は成田発のロンドン、パリ、ニューヨーク行きなどや折り返しのロンドン発成田行きなど27便の欠航を決めたほか、成田に到着予定だった貨物機3便を新千歳着に、旅客機2便を羽田着に変更した。

 ◇浅田真央選手は関空から渡米へ

 フィギュアスケートの浅田真央選手(18)=愛知・中京大中京高=の所属事務所は23日、米ロサンゼルスでの世界選手権(24日開幕)に参加する浅田選手の渡米便を、成田国際空港発の便から関西国際空港発の便に変更すると発表した。【飯山太郎】

毎日新聞 2009年3月23日 東京夕刊

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