社説

文字サイズ変更
ブックマーク
Yahoo!ブックマークに登録
はてなブックマークに登録
Buzzurlブックマークに登録
livedoor Clipに登録
この記事を印刷

社説:千葉・民主大敗 早く不信をぬぐい去れ

 千葉県知事選は元衆院議員の森田健作氏が圧勝して初当選した。知名度の高さから元々、森田氏が優位といわれていた選挙ではある。だが、民主党など野党4党推薦候補が予想以上の大敗を喫したのは、小沢一郎代表の公設秘書が起訴された政治資金規正法違反事件と、小沢氏の続投表明など、その後の対応が影響したためとみて間違いなかろう。

 毎日新聞などが実施した同知事選の出口調査によると、「支持政党なし=無党派層」のうち45%が森田氏に投票したと回答し、民主党などが推薦した候補に投票したと答えた人は24%にとどまった。最近の選挙は無党派層の動向が結果を大きく左右するのは言うまでもないことだ。

 一方、今回の事件を受けた報道各社の世論調査では、小沢氏は代表を辞任すべきだと考えている人が総じて6割を超えている。

 小沢氏は事件に対し、違法性はないと強調する一方、次期衆院選での政権交代を最大目標に掲げ、自らの進退は「代表を続けることがプラスかマイナスか。国民のみなさんの受け取り方次第だ」と語った。

 ならば、今度の大敗や世論調査で既に続投がプラスになっていないのは明らかではないか。続投の理由自体に無理が生じ始めている。それとも今度は「続投は党がみんなで決めた」というのだろうか。

 進退問題が党内で決着していないことは鳩山由紀夫幹事長も承知なのだろう。鳩山氏は衆院の解散直前に党独自で行う選挙情勢調査を見極めて最終判断する考えを示した。

 西松建設の巨額献金事件が今後、仮に自民党に波及すれば世論の風向きが変わるかもしれないという期待もあるのだろう。しかし、それでは党として主体的に決めるという行為を放棄するに等しい。

 今度の出口調査を見ても民主党に期待する声はなお、少なくない。だが、進退問題を長引かせるほど期待は失望に変わっていくのではないか。政権交代実現のためというなら、やはり、ここは小沢氏が身を引き、早急に新体制を作ることではないか。改めてそう指摘したい。

 もちろん、千葉県知事選の結果から麻生太郎首相や自民党への支持が持ち直したと見るのは早計だ。自民党県議の半数以上が森田氏を支援したというが、森田氏は今回、自民党をはじめ意識的に政党色を消し去ったことが大きな勝因だったとみられる。大量得票は政党全体への不信感の裏返しといってもいいのだ。

 政治への国民の信頼がなければ、今の経済状況は乗り切れない。次の衆院選は「政治とカネ」の問題について、どちらが先にけじめをつけられるかの勝負でもある。

毎日新聞 2009年3月31日 東京朝刊

社説 アーカイブ一覧

 

特集企画

おすすめ情報