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「臨床研修医 減らすな」

2009年03月27日

            府定員枠に病院長ら異議

■全国最大の3割減に→「北・南部 足りない」

 「医師の卵」である臨床研修医に都道府県別の定員枠を設ける厚生労働省の案に対し、26日、京都市内で開かれた府医療対策協議会で、府内の病院長や府市長会副会長の中山泰京丹後市長らから異論が噴出した。原案通りなら、府の研修医は全国最大の30%の削減になるからだ。府北部や南部の医師数は十分ではなく、府議会に続いて府も同日、厚労省案に反対する意見を出すことを決めた。

 協議会には、京都大学医学部付属病院や京都第一赤十字病院などの病院長が参加。「臨床研修制度の検証をしないままの数合わせはおかしい」「府内でも医師不足にあえぐ地域はある。大学からの医師派遣が減れば大変だ」などの声があがった。

 2日に公表された厚労省案は、研修医総数に各都道府県の人口比率または医学部定員の割合を乗じて、都道府県別に研修医の定員の上限を設定するというもの。臨床研修が義務化された04年以降、大都市の総合病院などに研修医が集中して問題になっており、医師不足の地方へ研修医を還流させることを狙っている。

 厚労省案で計算すると、府内の研修医は08年度の274人より84人(30%)減って190人となる。激変緩和措置として当面は1割の27人削減にとどまるが、期間は示されていない。

 だが、府内の大学は府外の病院で働く医師も養成している。例えば、府立医科大の医局は08年、近畿地方を中心に府外に医師535人を派遣した。「都道府県単位で定員を決めるなら、他府県から医師を引き揚げていいのかということになる」(依田建吾・京都第一赤十字病院長)。

 府内でも、京都・乙訓以外の地域の人口10万人あたりの勤務医数は全国平均を下回る。中山市長は「医師を派遣してもらってやっと医療態勢を確保している」と話した。

 厚労省案が医師の偏在の是正につながるか疑問視する声も多い。協議会では「研修医がそのままその都道府県にとどまるのか」「地方の大学病院に研修医の教育が十分できるのか」という指摘もあった。

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