平成21年1月5日
閉店のお知らせ
当店は,天保8年(1837年)の創業以来、一貫して自家製造した生菓子の販売等の事業を継続してまいりました。
銘菓「冬籠」は、江戸時代高槻藩主の永井侯により銘を受けてから、高槻名物として永らくお客さまに愛されてきました。
当店の餡(あん)は伝統の味が変わることのないように、昔ながらの製法をかたくなに守り続け、使用する水、燃料、釜、竈(かまど)まですべてこだわりを持ってきました。
水は高槻の地下水にこだわり、燃料には、ガスをつかわず、いまもなお薪を取寄せて竈にくべて、銅製の大きな釜で餡炊きをしております。
しかしながら、昨今の住宅地化など周辺の状況の変化につれ、薪を燃やした際に煙突からでる煙について近隣にご迷惑をお掛けしたり、地下水は井戸をどんどん深く掘り下げていかなければ水が取りづらくなってきました。
また、当店では熟練の職人に支えられて伝統の味を守り続けてきましたが、後継者など品質を維持することが困難になってきました。製造施設は今後,老朽化を避けられず、釜や竈などは同じ物を調達することが非常に困難になってきており、今後もますますこのような問題が生じてきます。加えて、昨今のきびしい不況のあおりもあり、製造過程の維持そのものが限界に達しております。
このように製品の品質を維持することができなくなりましたことから、当店はこのたび平成21年3月末日をもって閉店することに決定いたしました
お客様には永らくご愛顧いただきましたことに御礼申し上げます。
なお、3月末までの間ご愛顧のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
総本家田辺屋
店主 啓白