県教委が教員採用試験で不正採用を繰り返していた問題で、実際は不合格だったとして採用取り消し処分を受け、臨時講師となった大分市内の男性(31)が県に処分の取り消しを求めた訴訟の第一回口頭弁論が三十日、大分地裁(一志泰滋裁判長)であった。男性の意見陳述を代理人が代読し、「望みは一つ。失った身分を取り戻すこと」と訴えた。県は請求の棄却を求め、全面的に争う構え。
「自分自身や親族、周囲の人は誰も口利きなどしていない」。意見陳述で男性側は自らの潔白を主張し、県教委の処分を非難した。「証拠となる答案用紙の提示がないことや、(不正が疑われながら処分されていない)二○〇七年度の採用者と取り扱いに差があるなど納得できない」と指摘。「ぶつけようのない憤りと怒り、不安の中で将来を考え、(それでも)大分県で教師になり、大分の教育に貢献したいと考えた」と述べた。
男性は採用をきっかけに結婚した。「採用は自分にも、妻にも人生の転機だった。県教委はわたしたちの人生を大きく狂わせた」と訴えた。処分後、男性が担任した生徒の保護者は処分の撤回を求める署名を集めた。男性は四月以降も臨時講師を務めるという。
男性の代理人も意見陳述し、「教員採用は選考試験。試験の成績だけを理由に処分するのはなじまない」と主張。県側は「(点数の改ざんという)違法な瑕疵(かし)があったため、職権で取り消した。口利きに関与していたかどうかにかかわらず処分はできる」と反論した。
訴えによると、男性は〇八年度の採用試験に合格。八月下旬、点数データの改ざんによる不正な合格だったと県教委に告げられ、九月八日付で採用取り消し処分を受けた。処分をめぐっては、同じく採用を取り消された大分市の臨時講師秦聖一郎さん(23)も県に処分の取り消しなどを求めて提訴している。
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