小沢一郎民主党代表
民主党代表選が8日告示され、小沢代表だけが立候補の届け出をしたため、小沢氏の無投票3選が決まった。小沢氏はこの日、代表選公約「新しい政権の基本政策案」をまとめ、その中で「『日本再生』の大事業の先頭に立つことを誓う」として首相をめざす考えを示した。
小沢氏の任期は2年。21日の臨時党大会で正式に選出される。
代表選公約では、格差是正を前面に掲げ、「国民生活を顧みない自公政権を倒す」と政権交代をめざす考えを強調。「政治・行政の仕組みそのものをつくり替える」として、9項目の柱を立てた。
第1に取り上げたのが、年金記録問題で関心が集まっている年金制度。一元化や全額税方式の最低保障年金によって「確実・公正な『信じられる年金』の確立」を訴えた。
持論の政治制度改革にも言及。「国民自身が政治を行う仕組み」とするため、与党の議員を100人以上、副大臣や政務官に起用して政府に送り込み、「与党と内閣の一体化」を進めると主張。特別会計や特殊法人の原則廃止、天下りの全面禁止もうたった。
外交・安全保障分野では、「日本が地球のために頑張る仕組み」をつくるために主体的な外交を展開し、「強固で対等な日米関係を築くとともに、アジア諸国と信頼関係を構築する」「国連の平和活動に積極的に参加し、国連改革を推進する」とした。
小沢氏はこの代表選公約をさらに具体化し、「首相候補指名受諾演説」(周辺)と位置づけた21日の党大会の演説で政権構想として発表する。小沢氏は1日の立候補表明の記者会見で、この政権構想をもとに次期衆院選のマニフェスト(政権公約)をまとめる考えを示しており、無投票3選によって民主党の政策は「小沢色」を強めそうだ。
小沢氏は8日午後、党本部で記者会見し、次期衆院選で政権交代をめざす決意を改めて示す見通し。早ければ今週中にも第1次公認を発表し、地方行脚を再開。完全な総選挙態勢をとるよう改めて呼びかけ、準備を急ぐ方針だ。
党役員人事は21日の正式選出後に発表される見通し。小沢氏は菅直人代表代行、鳩山由紀夫幹事長、輿石東参院議員会長の3氏を首脳に据える体制は維持する考えだ。
8日の代表選立候補届け出には、小沢陣営の選挙対策本部長をつとめる藤井裕久最高顧問が小沢氏の立候補届を提出。推薦人には、参院幹部や党内各グループの中堅若手議員ら25人の国会議員が名を連ねた。
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■民主党・小沢代表の代表選公約「新しい政権の基本政策案」(骨子)
【1】年金・医療制度をそれぞれ一元化
【2】子ども1人あたり月2万6千円の子ども手当を支給
【3】最低賃金の引き上げ
【4】(1)農業・漁業者への戸別所得補償制度創設(2)林業の自立を支援し100万人を目標に雇用拡大
【5】(1)高速道路を無料化(2)ガソリンの暫定税率を廃止
【6】(1)特殊法人、独立行政法人、特別会計を原則廃止(2)役人の天下りを全面禁止
【7】国の補助金を全廃、地方に自主財源として一括交付
【8】与党議員を100人以上、副大臣、政務官などとして政府に入れる
【9】(1)温室効果ガス排出量の半減(2)国連の平和活動に積極参加