雑記: 2004年11月アーカイブ

ファイナンシャル・ジャパン創刊2号の記事で面白いと思ったのは松井証券の社長のインタビューである。

松井証券では、人事評価については私情を大いにまじえた情実主義をとっている。つまり好き嫌いで人事評価をしていると公言している。これはなかなか言えないことである。その根底には成果主義といっても成果を個人レベルに分解できないという本質的な成果主義の限界を見据えた視点があるように思う。

さらに松井証券には退職金と年金とボーナスがない。しかし業績に連動して従業員に利益還元をしている。その配分の方法が好き嫌いという徹底ぶりである。

複雑な給与体系で実質的な給与を見えにくくしたり、人事評価のための資料作りに時間をかけたりする大企業に比べるとわかりやすい会社である。

面白い会社に見えるこの会社であるが、働きたいとは思わない。好き嫌いで決めれば嫌いなタイプだからである。会社の仕組みに魅力を感じても嫌いだから仕方ない。

嫌いな理由は顔である。人間は雛人形と同じ。顔が命である。

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知り合いの人の息子さんの結婚式披露宴にひょんなことから出席することになった。200人近くの人が集まり、ホテルの宴会場でディナー形式で大集合である。日本の結婚式披露宴とは一味違う興味深いシステムだった。

まず日本と違うのは披露宴が日曜日の夕方6時からだということ。日本の場合、披露宴は昼間が多い。週末の夜というのは出席者の都合を考えるとあまり無い選択であるが、上海では夜が普通らしい。

そして式の進行もかなり自由である。日本の披露宴のように主賓が(通常あまり面白くない)スピーチを延々と続け、30分くらいしてから料理を食べ始める方式とは異なる。新郎新婦が入場してしばらくすると中華料理が次々に運ばれる。知らないうちに式は始まり、酒が入るとテーブル毎に勝手に盛り上がり始める。

披露宴は2時間でお開きになった。これも最後に締めの言葉があるわけではなく、予定のある人は勝手に挨拶してそそくさと帰っていく。引き出物というシステムもなく、淡々としている。

日本の形式的な披露宴よりカジュアルで出席者が楽しんでいる感じは言葉が通じなくても何だか楽しいものであった。

ゴネ得

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金曜日の夕方の飛行機で上海にやってきた。上海蟹をまた食べられるのが本当に楽しみである。

チェックインのとき、ちょっとしたトラブルがあった。小型のスーツケースを機内持ち込みしようとしたら5kg以上のものはダメだという。荷物を預けると時間がかかって仕方ないので何とか交渉すると、最後になって何と「今回は特別」ということで機内持ち込みできるようになった。

実は同じような話が数週間前にスポーツクラブに電話したときもあった。退会の手続きをしたいというと、本人がフロントに書類を提出しに来なければいけない、という。郵送でできることなので、何とかしてください、とゴネると何とこれも「今回は特別に・・・」であった。

ゴネるとやってくれる社会は不公平な社会である。文句を言っている人が得をして黙っている人が損をする。こうなってくると何でも取り敢えずゴネてみようという気分になってくる。

成田のカウンターもスポーツクラブの電話対応もその場しのぎの場当たり的対応だと思うが、きちんとしたルールに基づいた運営をしないと逆に特別扱いされた顧客からも信頼を失ってしまう。自分がやっておいて言うのも何であるが、事なかれ主義で安易に対応してしまう企業には困ったものである。

元カリスマ・マネージャーの人が書いたこのタイトルの本が売れているらしい。スリッパに履きかえる会社に投資しても儲からない、というのがタイトルの意味である。

ベンチャーキャピタルの専門家の人と話していたらベンチャー経営者には「髭の法則」というのがあるらしい。無精ひげを生やしているベンチャー経営者の会社は伸びるという法則である。髭を剃る時間を惜しんで仕事をしているということだろうが、会社の評価がこんな単純なことで決まるはずはない。

アマゾンでスリッパの法則の著者の数年前の書籍を探すと2冊の本が見つかった。「トップファンドマネジャーの明快投資戦略」にも「伸びる会社ダメな会社の法則」。そのどちらの紹介にもスリッパの法則が書いてある。

これらの本が書かれた2000年前後というのはITバブルの盛りであった。著者が「一寸法師」の運用を始めた頃で、光通信の重田社長を天才経営者と絶賛していたのを思い出す。その頃から言っていることは変わらないのである。

彼が現在運用するファンド「鞍馬天狗」の運用成績をこれからどうなるのか注目していきたい。

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車に続いて今度はこれに一目ぼれしてしまった。BOSEが開発したSoundDockとはiPodを室内での本格的オーディオシステムにしてしまう便利な商品である。中央に、iPod、iPod miniを置くだけで使えるのが素晴らしい。iPodを載せればON、はずせばOFFと電源をON-OFFする必要すらないという。

最近はiPod以外で音楽を聴くことが少なくなった。CDを入れ替えたりするのが面倒だからだ。iPodは自分の好きな曲だけでリストを作ることができ、これをはじめてしまうと1つのCDを聴き続けるのがまどろっこしくなる。しかしこのシステムなら普段通勤で聴いているものと同じ音楽を部屋で聴ける。

しかも重くないので机からベッドルームへといった持ち運びも可能。夏ならテラスで使うこともできそうだ。

そして気に入ったのが価格。税込み34,860円なら買おうと思えば買える無理のない値段である。

BOSE贔屓でiPodユーザーである私にとっては理想的な商品。もう使っている方、いらしゃいますか?

書くだけダイエットというのが流行っていると日経新聞の土曜日の紙面に書いてあった。こういう実に簡単なものらしい。
1、自分の食事内容を書き出す。
2、体重をグラフにする。
3、ダイエットの目標を決める。

実際にカロリーコントロールや食事制限などをしなくても、毎日体重をグラフにする、といった「書く」という行動だけでダイエットできるのがポイントである。これは目標を視覚化するということで資産設計にも通じる。

前から繰り返し書いているが目標は紙に書いて毎日見ているとナゼか実現する。そんな簡単なこと誰でもできる、と思っても実際に紙に書いて毎日見るということだけでも実行できる人は何人いるだろうか。

紙に書いて見ているだけで目標が頭にインプットされ無意識に目標の実現のための行動を起こすようになるのである。ワタミフードの創業者渡邊美樹氏も「夢に日付を入れる」という目標を手帳に書いて行動するということを実践している。

書くことの効用は人が思っているより大きいようである。この本の著者も書くことの重要性を繰り返し説いている。

パソコンの普及によって大人も子供も字を書くことが少なくなった。便利で能率が上がった反面、大切な何かをつかみきれない原因になっているように思う。

仕事が忙しく最近はランチも机で食べることが多い。確かに時間の短縮になるのだが、果たして能率が上がっているのかふと疑問になった。

単純作業で1時間やればこれだけの成果というような仕事であればできるだけ時間は無駄にしない方が良い。しかし、物事の進め方を考えたり、原稿を書いたりというアウトプットを求められる仕事では机に座っている時間と成果は比例しない。

今週は意図的に外出して少し遠出をしながらランチを食べるようにしてみた。すると歩いているときに様々なアイディアが浮かんでくる。

さらに歩くときだけではない。マネックスメールの原稿も途中まで書いたドラフトをプリントアウトしてポケットに入れてランチを待っている間見ていると、会社でパソコンに向かっているときには考えなかったようなアイディアが浮かんで来て驚いた。また電車も仕事が効率的にできる半端な非日常的な時間である。

12月1日までに完成しなければならない本の原稿もこの細切れの時間で何とかなるのだろうか。

まだ3章の後半は書きあがっていない。

資産設計の世界では預貯金のような元本保証商品だけを保有すると逆にリスクが高いということがある。インフレになれば元本が目減りするし、円安になれば外貨での資産購入をするときのコストがアップしてしまう。つまり購買力が目減りしてしまう可能性がある。

「リスクを取らないのがリスク」というパラドックスである。

では仕事の世界ではどうだろうか。有名な大企業に就職することはリスクが小さく、聞いた事のないようなベンチャー企業に就職することはリスクが大きいのだろうか。

りそな、ダイエー、長銀、西武、山一証券、三菱自動車。ここでもリスクを取らないのがリスク、という状況は変わらないのではないかと思う。

大手企業に就職して安泰だと思っている幻想は元本保証の普通預金なら安全と思っていることに似ている。自分のスキルを磨き、会社に頼らずどこでもやっていける力をつけるのは、リスクを取って投資をすることに似ている。

リスクとは人生から完全に排除することはできない。リスクを避けるのではなくマネージするという発想でないと良い結果は生まれない。

このファンドの説明会を東京と大阪で開催した。大阪で説明会が終わったのが5時半。そこから夕食ということでタクシーで10分ほどの串揚げ髭政(06-6454-9949)に総勢6人で繰り出した。といっても帰りの新幹線は19:10ののぞみである。食事の時間は40分という何とも慌しい中、串揚げを15本近く平らげて新大阪に19時には何とか到着した。

乗ったのはのぞみ64号。19:10新大阪→東京21:46である。しかし乗ってから気が付いた。これは品川に止まらない。渋谷経由で帰宅するので品川が便利であるし、何といっても駅が空いているので乗換えが楽である。

と、時刻表を見ると新大阪19:17という臨時列車があることを発見。品川にも止まる。

結局こののぞみ152号に名古屋駅で乗り換えるという荒業で品川駅で降りることができた、しかも到着が21:45で最初に乗っていたのぞみの東京駅着より1分早い。新大阪発の臨時ということで車内はガラガラ。快適な帰り道になった。

それにしても品川駅は止まる新幹線と止まらないものと違いはどこにあるのだろうか。品川駅はJR東海の牙城である。JR西日本の運行するのぞみは品川に止まらない、といった縄張りがあったりするのだろうか。

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土曜の午後、世田谷通りを走っているときに目に入ったメルセデスのショールームに何となくふらりと入ってみた。メルセデスというと成り上がった50代の自営業者が乗る車、という感じであった。つまり人生「上がり」の人がイバリで乗る車というネガティブな印象を持っていた。ショールームは多くのお客さんでにぎわっていた。そんな中、Cクラス、Eクラス、Sクラスと一通り見たが何だかピンとこない。

実は今乗っているアルファロメオGTVはスタイルに一目ぼれして4年前に衝動買いした車である。デザインは今でもとても気に入っているしエンジン音には今でも惚れ惚れしている。しかし最大の難点はその機能性である。

4人乗りとは言え実質は後部座席には人は長時間乗れない。先月4人でドライブというときは、結局レンタカーを借りることになってしまった。週末しか使わず遠出にも使いにくいのでは保有する意味があまり感じられなくなってきていた。

そんな中ショールームの2階で見たCLKのカタログを見ているとその中にカブリオレを見つけ、これに一目ぼれしてしまった。後部に2人が楽々座れオープンなのに収納もある。スタイルもメルセデスの中では垢抜けている。しかもあまり売れていないらしい。人が持っているものより持っていないものが好きなひねくれ者にピッタリだ。

と喜んだが、値段だけは現実に戻された。無理して買えないわけではないが、敢えてここまで出して買う価値があるのか。取り敢えず今の車の査定をしてもらうことになった。

車も60歳を過ぎればそんなに運転したいとも思わないだろう。ということはあと20年何を運転するかの選択、とも言える。そろそろ赤のイタリア車を乗り回す世代からの卒業が近づいてきた気がしてきた。

ヘッドハンターの方とお会いした。ヘッドハンターといっても世の中には色々なパターンがある。知り合いのツテを頼ってとにかく手当たり次第に会社に紹介し、当たれば儲けものという会社(これは誰でもできる)もあれば、人材を求めている企業と契約を結び、必要とする人材についてコンサルティングもした上で、その条件に合った人を紹介する会社(これはなかなかできない)まで様々である。私がお会いしているのは後者の会社。ヘッドハンターというよりは、人事コンサルティングを行うエグゼクティブ・サーチと呼ばれる会社である。

担当の方とは最低年に1回はお会いする。そんなお付き合いがもう7年になる。彼にとって私に毎回会うメリットは将来のお客さんということだろうか。私にとってのメリットは自分の労働市場での価値の確認である。年に1回、自分が社外でどんなポジションを得ることができ、どのくらいのニーズがあるのかを知る。自分のキャリアの時価評価といっても良い。

彼が言っていたことで印象に残ったのは日本人の優秀な人材の発掘が難しくなったということである。かつては日本の大手企業で社内留学経験者を探せば、英語ができる最低レベルの人材を見つけることができた。ところが最近では社内留学制度も減り、優秀な人材は海外業務より国内業務に配置されるようになって、国内の大手企業から外資系に紹介できるような人材が枯渇しているのだという。

さらに専門職志向の強まりで、幅広い業務を経験する人材が減って、いわゆるゼネラルマネジメントのできる人も少なくなっているという。かつては面接で何ができますか?とスキルを聞かれて「部長ができます」と答えたという笑い話があったが、今やそういう人材が逆に不足してきているのである。

彼と会ってその後オフィスに戻ると、いつも新鮮な気持ちで自分の仕事を見つめなおすことができる。会社からの評価と社外からの評価。2つの評価を比較して自分の相対的な位置を確認することはビジネスマンとして大切なことではないだろうか。

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