法務省は日本に定住する外国人の相談を広く受け付ける「ワンストップセンター」を、定住者が多い浜松市など関東・東海地方の3カ所に設置する方針を決めた。従来は自治体と入国管理局が相談内容ごとに相談を受け付けていたが、一括して「よろず窓口」として対応する。景気低迷で外国人の失業が相次いでおり、定住外国人との共生社会づくりに向け支援体制を整える。
日本の定住外国人は、戦前から住む在日韓国・朝鮮人ら特別永住者が減少傾向にある一方、90年の入管法改正で就労が自由化された日系人や中国人、フィリピン人ら「ニューカマー」と呼ばれる永住者が急増した。07年のニューカマーの永住者は約44万人で、特別永住者(約43万人)を初めて上回った。
このため、日本語が苦手な子供や風土になじめない外国人の増加が懸念されている。「1回で用事が済む」という意味のワンストップセンターは、入国管理局職員OBや自治体職員らが常駐し、在留手続きに関する問い合わせからゴミ出しや日本人との接し方まで幅広く相談に乗る。設置場所は浜松市のほか、さいたま市と東京23区内の計3カ所が選定された。浜松市については、4月に開設する。
失業した外国人の場合、元の在留資格が認められない場合もあり、再就職の相談と同時に法的な相談の必要も生まれる。これまでは、別々の窓口を訪れなければならなかった。医師や弁護士、労働相談員なども必要に応じて助言する。
入国管理局の担当者は「入管は不正の摘発だけでなく、外国人と共生できる社会づくりへの転換期にいる」と話す。【石川淳一】
毎日新聞 2009年3月29日 東京朝刊